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2006年の例会

第43回例会 2006年12月5日(火)

地人会 飢餓海峡

 作:水上勉  演出:木村光一

 出演:島田歌穂・永島敏行・
    金内喜久夫・松熊信義・鈴木慎平・蔵一彦・仲恭司・松浪志保・山下清美・押切英希・
    小長谷勝彦・吉田敬一・白井圭太・助川嘉隆・玉木文子・島田桃子・藤島琴弥・勝惠 ほか

【あらすじ】
太平洋戦争が終って2年余の昭和22年の9月、函館から青森へ向う津軽海峡の連絡船「層雲丸」が折からの激しい台風に見舞れて沈没事故を起した。500名近い犠牲者を出した。この大事件のかげにかくれてはいたが、ほど近い北海道の岩幌の町では放火殺人事件による大火災があった。函館署の弓坂警部補(金内喜久夫)は、この2つの事件の間に見逃してはならぬ一人の男の存在をはっきりと見出し、その追求を始めたのだった。
 ちょうどその頃、下北半島の大湊の町の娼家「花乃家」の酌婦・杉戸八重(島田歌穂)は、たまたま一人の客をとった。西の方のなまりのある不思議な風情のイヌガイタキチと名のる大男(永島敏行)である。母を失い、病に倒れた父親を養うために身を売った八重は、自らの孤独から逃れるためか、誰にでもなんともやさしくふるまう女だった。特に疲労困憊といったその大男には、ほんの短い時間ではあったが、言い知れぬほどの親しさで接したのだった。男は軽い睡眠のあと、新聞紙に包んだものを彼女に残して足早に去っていった。五万八千円という大金。八重にとっては一生かかっても貯えられぬほどの金である。イヌガイタキチの名は八重の心の奥底に深い、そして強く不可思議な印象を残して、時は過ぎてゆく。
 その金の一部を使って娼家を去り、誰もがあこがれる戦後の混乱期の東京の繁栄に八重は飛び込んでゆく。新しい自分になろう。しかし、八重を待っていたのはやはり娼婦という仕事でしかなかった。そしていつの間にか十年の時が経った。函館署の弓坂は執拗にその間にも、静かに八重を追っている――。八重が客にしたイヌガイタキチという男を、誰もが忘れてしまった津軽海峡のあの混乱の中での彼の存在を、である。――


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第42回例会 2006年10月11日(水)

劇団民藝 明石原人 −ある夫婦の物語−

 作:小幡欣治
 演出:丹野郁弓   出演:南風洋子 日色ともゑ 伊藤孝雄 千葉茂則  他

ひたすら夢を追いかける夫とそれを必死にささえる妻。時代と境遇に挑みつづける夫婦の愛のかたちを、ユーモアあふれ、反骨精神みなぎる筆致で描きあげた小幡欣治さんの書き下ろしドラマです。

【あらすじ】
明石の女学校教師・直良音(日色ともゑ)を、かつての教え子・村中信夫(千葉茂則)が訪れます。が、思いもかけぬ事態から、音は11歳も年下の信夫を婿にとることになります。生計のほうは音にまかせきりの信夫は化石を掘るのに夢中です。そして信夫は明石海岸で旧石器時代のものと思われる人骨を発見したのです。しかし、世紀の大発見「明石原人」は学歴社会の壁にはばまれて、小学校卒の信夫の業績とは認められません。挫けそうになる信夫を、音は叱咤激励しながら支えます。折しも満洲事変、日中戦争から太平洋戦争への時代。日本に旧石器時代があったという学説も、この国は神武天皇から始まったとする皇国史観に抵触します。しかも信夫の発見した人骨は、東京大空襲で焼失してしまいます…。


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第41回例会 2006年7月19日(水) 

文学座 アラビアンナイト

 脚色/ ドミニク・クック  訳/ 鴇澤 麻由子  演出/ 高瀬 久男
 
 出演/ 三木 敏彦・早坂 直家・沢田 冬樹・外村史郎・助川嘉隆・木津誠之
  亀田佳明・松角洋平・山本 道子・香月弥生・名越志保・目黒未奈
  太刀川亞希・山田里奈

【あらすじ】
 むかしむかしの、はるか彼方の遠い国……。きっと誰もが聞いたことのある「アリババと40人の盗賊」や「船乗りシンドバットの冒険」をはじめ、「ある乞食の物語」「アブ・ハサンが屁をした話」「ものを食べない奥さんの話」「妹をねたんだふたりの姉」など、美しい娘シャハラザードが千と一夜を語り紡いだ数々の物語。その摩訶不思議な物語はいつしか王様の冷たい心を溶かし、やがて人々を救う歓喜の輪になってゆく……。


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第40回例会 2006年5月17日(水) 

青年座 殺陣師段平

 殺陣を愛し、その情熱をまっすぐに貫いて生きた男と、そんな彼をやはり愛したたくさんの人々の話です。

 作/ 長谷川幸延 演出・補綴/ 鈴木完一郎 
 出演/ 津嘉山正種、岩倉高子 ほか

【あらすじ】
 島村抱月、松井須磨子らが活躍する芸術座を退団した澤田正二郎は、大正6年、新国劇を旗揚げする。新国劇の頭取(楽屋の世話役)の市川段平は、元は歌舞伎の殺陣師だった。澤田のために役に立ちたいと願うのだが、リアルな立ち廻りの確立を目指す澤田は、型にはまった段平の殺陣を受け入れようとしない。ある出来事をきっかけに、ようやく活躍の場を与えられた「国定忠治」は大阪で大ヒットして、新国劇は東京へ進出することになる。しかし、やはり澤田は殺陣を客寄せの道具としかとらえなかった。やがて殺陣に命をかける段平は澤田のもとを離れる決意をする。そんな時、髪結いで生活を支える妻・お春の危篤の報せが大阪から届いた…。


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第39回例会 2006年2月10日(金) 

イッツフォーリーズ  天切り松

  原作/ 浅田次郎   劇作・脚本/ 水谷龍二   演出/ 鵜山仁
  出演/ 左とん平、井上一馬、茂木沙月、 津田英佑、金村瞳、水野龍司、小嶋尚樹、他

 小劇場発の和製ミュージカルとして昨年上演され、高い評価とともに話題となったイッツフォーリーズの「天切り松〜人情闇がたり〜」。日本人の情緒に溢れた作品を生み出してきたイッツフォーリーズが浅田次郎の原作をもとにして創り上げた異色のミュージカルだ。主演に左とん平を迎えるほか、演出は今最も注目を集める演出家・鵜山仁が、脚本は水谷龍二が手掛ける。アトリエという小空間で上演されてきた珠玉のミュージカルが、場所を変えてどのように上演されるのか。話題が詰まった注目の舞台だ!

【あらすじ】
 とある留置場で、老人が夜盗の声音“闇がたり”で若者に語る昔話…。大正時代の帝都で名を馳せた義賊を中心に、義理と人情に溢れた人々の生き様を4話のオムニバスで綴った物語。


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