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2006年12月5日(火)

地人会 飢餓海峡

 作:水上勉
 演出:木村光一

 出演:島田歌穂・永島敏行・金内喜久夫・松熊信義・鈴木慎平・蔵一彦・仲恭司・松浪志保・
    山下清美・押切英希・小長谷勝彦・吉田敬一・白井圭太・助川嘉隆・玉木文子・島田桃子・
    藤島琴弥・勝惠 ほか

第43回例会飢餓海峡は12月5日(火)です。
開場17:50開演18:20といつもより10分早くなっています。ご注意を
シール渡し日11/4(土)・7(火)・9(木)

運営サークル
一丁目 華の会 まつぽっくり ジュン・マコ アメジスト 小林喜代子C アリス 琵琶湖の花
城貝文人C ふきのとう くわはら 春ですね 中村信彬C 西野竹雄Cなでしこ 那須光章C 
MA・MI・I 馬場タカC 園洋子C 宮川直美C

            

飢餓海峡」の公演によせて

 水上勉の「飢餓海峡」は、昭和371962)年1月から12月まで「週間朝日」に連載された。約束の1年では完結しなかったため、その後約半年かけて530枚書き足して完結し朝日新聞社から刊行された。作者自身のあとがきに次のように書かれている。
「はじめ主人公に犯罪者を選んで、それを追う警官の足跡をたどりながら、社会、人生というものが語れたらとひそかにもくろんでいた。しかし、その材料に、洞爺丸遭難と岩内大火が入りこんだのは、書く1年ほど前に臼居吉見氏、柴田錬三郎氏と3人で北海道講演旅行に行き、岩内を訪れた時だった。ここでこの町が大火にあったことと、その日がちょうど洞爺丸が海峡で転覆して、大勢の死者が出たため新聞はそっちの方に多くの紙面をさいて、岩内の火事については一段記事ぐらいでほとんどふれるところがなかったことをきいた。
『新聞がほとんどふれなかた』のに私は興味をもった。そして同じ日に起きた、はなれた地方と地方の悲劇を、天地自然が貫いて眺めていたことの不思議さを感じた。私はこの二つの事件をつなぐ犯罪を構成した。」
刊行約
1年後の昭和3912月、東映で映画化され非常に高い評価を得た。
昭和
40年の日本映画記者会の映画賞は、監督賞:内田吐夢、主演女優賞:左幸子、主演男優賞:三国連太郎、助演男優賞:伴淳三郎と総なめの状況だった。
その後も映画、テレビ、舞台で数多く上演され水上勉の代表作の一つとして定着している。
ひこね演劇鑑賞会では水上作品は「はなれ瞽女おりん」「雁の寺」がとりあげられ、、そして今回の「飢餓海峡」となった。

 あらすじ

  敗戦後まもない昭和22年の9月、折からの台風で津軽海峡の連絡船層雲丸の沈没事故が起こった。たまたま同じ日、北海道岩幌の町は放火殺人事件によって町の大半を焼失していた。函館署の弓坂警部補(金内喜久夫)は、海難事故の身元不明の二つの遺体と岩幌町の放火殺人事件の間に見逃してはならぬ一人の男の存在をはっきりと見出し、その追求を始めたのであった。
 ちょうどその頃、下北半島の大湊にある娼家「花乃家」の酌婦杉戸八重(島田歌穂)は、関西風のなまりを持つ男(永島敏行)を客にとった。
八重のやさしいもてなしと肌のぬくもりが男の冷えきった心と体をほぐしたのか、男は
58,000円という大金を八重に残して去った。
男の名はイヌガイタキチ、八重にとっては忘れられない恩人となったのである。
そして10年、世の中は次第に豊になり売春防止法が施行される。東京で飲み屋や娼家を転々として暮らしてきた八重も、生活を変えなければならなくなっていた。ある日新聞に載った一枚の写真を見て顎然とした。刑余者の更生の資金に莫大な資産を寄付した舞鶴の篤志家樽見京一郎という男の写真が、片時も忘れたことのない恩人イヌガイタキチとそっくりであったからだ。八重は10年前の礼を言うため、そして人生の再出発を相談するため、樽見をたずねようと決心した。
 そして・・・。

                                          ひこね演劇鑑賞会     代表幹事:八田光雄

 

 

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