前進座公演
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ものがたり
「せっ、せ、拙者めが仁藤昂軒をうっ、討ちまする!」
名乗りをあげたのは、双子六兵衛。
水を打ったように静まった大広間は次の瞬間、嘲笑に包まれた。
双子六兵衛と云えば、誰知らぬ者もない臆病者。
片や、殿様のお気に入りの小姓頭を斬り殺して立ち退いた仁藤昂軒は、
向かう処敵なしの剣術指南役なのだ。
たった一人の妹に別れを告げた六兵衛は、昂軒を追って旅立つ―
「お兄様は殺されてしまいます。」
「相手は名人、私は臆病者と認めている。私はこの違いに賭けたんだ。」
役となり語り手ともなる4人のコロスが、八面六臂。
楽器を奏で、音具を操り、人はもちろん、馬や犬、蝉や鈴虫、風・雨・風鈴・幟までを演じきる笑劇。
「人を殺したり切腹するのを見るのは好きじゃない」臆病者の上意討ちのてんまつは−
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