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第83回例会

2014年12月11日(木)

劇団NLT公演 

  OH! マイ ママ

作=ジーンジャック・ブリケール&モーリス・ラセイグ   
訳=佐藤康   演出=釜紹人  
出演=川端槇二、木村有里、加納健次、弓澤公望、守屋利香

フランスの大物国会議員の妻の失踪のカギを握るアメリカ陸軍大佐フランク。
超ド級の秘密を胸に、彼はなぜやって来たのか!!
この秘密だけは決して人には喋らないでください!

<ストーリー>
フランスの有力国会議員アルベールは来月、息子のルイと同じ日に結婚式を挙げて、選挙に有利な話題作りを狙っている。そんな時に彼を訪ねてきたアメリカ陸軍大佐フランク・J・ハ―ダ―国連の人権委員としての訪問と言うが、話題はアルベールの息子ルイの事ばかり。そして大佐は20年前に失踪したアルベールの妻マリィの事も詳しく知っている。失踪事件の陰に隠された真実が明かされようとするが……。なぜか大佐は彼らの結婚に反対の様子を示し、メイドも何やら曰くありげに、彼らの秘密が気になる素振りを見せる。アルベールの婚約者マチルドを巻き込みながら、急転直下のラストシーン。
「OH!マイママ、瞼の母は今どこに」

12月例会は、フランスのブールヴァールコメディ(フランス喜劇)の傑作登場です。
舞台は有力国会議員アルベール家。アルベールは、一人息子のルイと同じ日に結婚式を挙げて、選挙に有利な話題作りを狙っている。結婚式を来月に控えたある日、いわくありげなアメリカ陸軍大佐フランクがアルベールを訪ねてやってくる。フランクはいったい何者なのか?何のためにやって来たのか?
フランクの話題はルイのことばかり。25年前に失踪したアルベールの妻マリィのことも詳しく知っている。そして失踪事件の陰に隠された真実が明らかにされようとするが・・・。なぜかフランクはルイの結婚に反対の様子を示し、メイドも曰くありげに、彼の秘密が気になる素振りを見せる。アルベールの婚約者マチルドを巻き込みながら、急転直下のラストシーン。
男と女、男と男!?入り乱れての大騒動。ルイは叫ぶ「OH!マイママ、ぼくのママは今どこに!」
ここでフランクの秘密をどこまで書くかは、思い悩むところですが、・・・。それは当日のお楽しみとして、パンフレットより、次のことを紹介させていただきます。

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物語の震源となっているのは「性同一性障害」という極めてデリケートな問題である。この作品が書かれた26年前も、NLTが初演した16年前も私たちはこの障害に対する知識をほとんど持っていなかった。いわゆるホモセクシャル、ゲイとかレズとか特殊な性差を持つ人たちなどの事と、ひとくくりにした認識しかなかった時代である。(中略)今回、再演を決めたのは、「性転換」を軸にして、異性愛・同性愛・母性愛・父性愛・そして家族愛、これらの神々しいまでに確固たる部分と、愛と憎しみ、悲劇と喜劇、紙一重で越えられてしまうあやふやな関係の面白さが、正統派ブールヴアール劇(=フランスコメディ)という軽さの中で浮かびあがってくる、この本の奥深さがあるからである。
(劇団代表 フランク役 川端槇二氏)
セックスとジェンダーが一致しない場合、ジェンダーを「越える(トランス)」必要が生まれてくる。吉永みち子さんの『性同一性障害』によると、異性の服装をすることで心が落ち着くケースを「トランスヴエスタイト」と呼び、さらにそれだけではなく「社会的にも異性として扱われたい」場合を「トランスジェンダー」と呼び、そしてさらに性別適合手術を行って「完全に異性の身体を望んでやまない」場合を「トランスセクシュアル」と呼ぶとある。(中略) ジェンダーをめぐる問題は難しい。自然と文化の双方にまたがる領域だからだ。けれどもわが国は、歌舞伎と宝塚を擁するトランスジェンダーの演劇文化を濃厚に持っている。きっといい知恵も生まれるだろう。
(翻訳者:佐藤康氏)




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【他の鑑賞会での公演の感想より】

NLTのお芝居はいつも楽しませてくれて、明るい気分で帰れます。元気になり感謝!
ストーリーの展開が次にどうなるのか予測がつかず、笑いの中で次第に流れに引き寄せられました。
愛と笑いの中で、家族の大切さを温かく感じることができました。
二股愛? 三股愛? 同性愛? 母子愛。いろんな愛情が人間関係を形成していること、おもしろく、楽しく拝見させていただきました。
性同一性障害に関して、最近はメディアに取り上げられることも多くなり、違和感なくお芝居みられるようになり、時代の変化を感じさせられますネ。
抱腹絶倒とはこのこと! しかもホロリとさせる人の世の情の世界が全スタッフ・キャストに支えられて描き出されている。安心して舞台に集中できました。          (K.Y.)


劇団NLT 川端槇二さんにインタビュー

●役者になられたきっかけは
 高校時代にずっとサラリーマンになりたく、一流大学に行って、一流商社に入ってと思っていました。
たまたま高校の担任が演劇部の顧問で演劇部に入るよう勧められ、物を作るのが好きでしたので、大道具ぐらい作れると演劇部に入部しました。
演劇部に入ってみると周りは女の子ばかり。いきなりオーディションで、モリエールの『町人貴族』の主役をやることになり次の年も同じ。
公演が終り出口の所に下級生の女の子がすみれの花束を持って立っており『へぇぇ』と思いましたね。
3年生になり受験勉強をしていたのですが、周りを見てもみんな受験勉強をしている。でも、ふと『サラリーマンになるにしろ地道な毎日を過ごすのが夢だったけど、このままでいいのだろうか』と思ったんです。
じゃあ、他になんだろうと考えた時、すみれの花束を思い出しました。
演劇部でずうっと続いたのは嫌じゃなかったのですね。
それから初めて芝居を見始めたのですが、面白くないんですよ。役者になろうとあちこちの劇団を受けたのですが、高校を出て何も知らない者が受けても、一次で大きな劇団からも全部落とされました。
ある時、演劇情報誌にNLTが載っていて、先生に聞いたら、三島由紀夫先生がおられ、『サド侯爵夫人』が大当たりをとったばかりで文学座から分かれたのですが、飛ぶ鳥を落とす勢いでこれから伸びる劇団と聞き受験しました。
受験にあたって特徴を出すため学生服を着て臨んだのですが、課題をやり始めたら、三島路線で喜劇でもないのに試験官たちがゲラゲラ笑うんですよ。
学生服着て悲壮感で一生懸命やっている姿がおかしくてたまらなかったのでしょうね。何百人という受験生がいたのですが、40名ぐらいの合格者の中に入りました。
それがNLTに入ったきっかけで、以来40数年歩んできました。
なんで目指したかというと、他にやることがなかったというか、すみれの花束ですかね。
 
 

実は父親が邦楽の作詞を生業にしていまして、舞踊関係の構成などのいわゆる演出をやっていました。
父親に連れて行かれるところは、踊りのおさらい会や歌舞伎、新派でいわゆる和物ですね。舞台にはあまり抵抗がありませんでした。
NLTに入ってすぐに劇団が分裂し、三島先生のロマン劇場、残された賀原夏子中心の我々若者を入れて20人足らずの人数でした。
どうせ潰れるのだからやりたいことをやろうと、NLTの顧問の岩田豊雄先生(獅子文六)と賀原がやりたかったフランスの質の高いコメディー、ただ笑わすだけでなく人間を描くことになりました。
当時喜劇は一段下に見られていましてね、賀原自身もどういう風に演じればいいか、ただ滑った転んだではなく、いままでの既成の新劇の俳優には出来ないからと、賀原が喜劇運動と称して若い者たちとやりだしたのが40数年前で僕が入って間もなくでした。
新劇の流れはではありますが新劇というよりもNLTのコメディーでやってきました。
ずっと続けてこられたのも賀原がレールを引いてくれたからだと思います。
今、私は劇団代表ですが、賀原は天涯孤独の人でした。当時六本木にあった劇団の稽古場が賀原個人の物で、自宅は麻布にあったのですが、このまま死んじゃったらお国に取られてしまうので養子になってくれと言われて彼女の養子になりました。
すごく立派な自社ビルを作ったんですが、賀原が亡くなった途端にバブルがはじけて、財産を引き継ぐはずが、相続税や何やらすごい借金を背負うことになりました。
自社ビルも手放すことになり、物的な財産は引き受けられなかったのですが、色々な意味での賀原イズムは若い人にも引き継がれているのかな。
この弱小劇団が40数年続けてこられたのは賀原のおかげだと思っています。

OH!マイママ 運営サークル活動報告

諸事情で鑑賞会を退会される場合、例年は「12月の例会を観てから退会」という人が多いのですが、今年は、前例会「女の一生」後の退会者が32名と今までになく多く、ちょっとしんどい出発となりました。
でも、ひこね演劇鑑賞会の存続のためには何としても600名台に回復させねば・・との思いは運営サークル全体に強くありました。
今例会に当たって、運営サークル会議では、まず「OH! マイママ」の作品について話しあいましたが、初めからこの作品のことをよく知っている人はほとんどなく、パンフレットの事前購入、台本の回覧、インターネットで検索等々を通して、「ママの謎の失踪」の裏には、「性同一性障害」や「性転換」が絡んでいることが分かりました。
でも深刻な筈のテーマを笑って吹き飛ばす手法のステージが正統派ブールヴアール劇(フランスのコメディ)の特徴であり、とにかく楽しく観られるお芝居だということも分かりました。
「DVDを観る会」も複数回実施して、作品の理解を深めました。
そして、季節的にも寒くて年末の忙しい時期の例会だけれど、「楽しいお芝居だから是非ご一緒に観て笑いましょう!」とのコンセプトで会員増やしを!と話し合いました。
さらに、「魅力を知ろう会」には、息子ルイ役の弓澤公望(きんもち)さんが来てくださるというので、作品への期待がより高まってきました。
弓澤さんは大阪府出身で、久しぶりにご自分の実家に泊まって近畿各地の鑑賞会の事前学習会を回ってくださっていて、「公望」という名前の由来やNLTに入団したきっかけ等から始まって、関西弁でのお話は、より親しみを覚えるものでした。こうして例会への期待は膨らみ、会員が増えたら貼り付けるバラの折り紙の制作をしてくださった方、お通しのお料理やデザートの協力をくださる方、新米や畑で採れた新鮮野菜を提供くださる方等々、劇団を迎える準備は着々と進みました。
「ロビー交流」を少しでもコメディにふさわしい交流になるようにと相談していたのですが、いろいろあって予定変更でしたが、急きょ特大コサージュを作って10数人が胸につけて、対面式や受付等に臨みました。それが劇団の方たちにも好評だったり、彦根の会場の反応がとても良かったと団員の皆さんが喜んでくださったり、会員の側も楽しかったという感想が多く聞かれ、年末にふさわしい楽しい例会として終えることができました。
ところで、一方、会員をお誘いする活動ですが、ご近所に10枚・20枚とポスティングをしたサークルや会員、集まりごとに入会のお誘いをしている会員等々、それぞれは頑張っていたものの、「年末で忙しいから次回から・・」とか、「楽しそうだけどちょうどその日は用事が入っていて残念」等々で、なかなかいい結果が出ませんでした。
そのような中で、「楽しそうなことやっているね。どんな会なの?」と、会員さんにお友だちの方から聞かれて、「それじゃ私も!」と入会くださった方が別のお友だちを誘ってくださって、当日入会含めて4人の新サークル誕生となった快挙も生まれました。また、「娘が入会・・」、「主人が入会・・」、そしていきなりその娘さんが搬入に来てくださったり、ご主人がお通しのコロッケづくりを協力くださったり・・と各ご家族の並々ならぬご協力等も含めて、最終的には10人の新入会員を迎えることができました。
が、今年の中で一番少ない584名の会員数の例会となってしまいました。また、増えた10人はいずれも運営サークル内で増えた人で、運営サークル以外では1人も増えなかったことは今回の特徴の一つとなってしまいました。
鑑賞会の存続を考えると本当に厳しい年末となりましたが、運営サークルだけでなく、全会員が担当例会以外にも増やし続けないと、会員数が減り続けることにストップをかけられないのではないかと危惧しているところです。 (すみれ2班 K・Y)


運営サークルに参加して

舞台と客席が一つになって

入会して2年目になりますが、今回初めて最初から運営サークルに参加させていただきました。
事前に台本を読んだり、「魅力を知ろう会」に参加して、楽しいお芝居であることはある程度予想していたのですが、実際に舞台を見せていただくと、想像以上に楽しいものでした。
そして何より劇団NLTの皆さんのアットホームな暖かいお人柄のお陰で、「搬入」「対面式」「ロビー交流」のどれもがとても楽しいものとなりました。
木村有里さんが「お客様に笑っていただけると、こちらもどんどんのってくる」「役者はお客様にのせられる」といわれていましたが、今回の例会では舞台と客席が一つになり、客席からお芝居を盛り上げることができるという新しい発見がありました。
客席のお芝居への反応の良かった点や、お通しの気配りにも喜んでくださり、是非またNLTの方々に来ていただきたいと思いました。
これはもしかしたら、運営サークルが役者さんにのせられたのかも知れませんね?
(千手寺 K)

笑いの合間に

最初から最後まで笑いが止まりませんでした。鑑賞会に入会して最初のお芝居が、この作品であったことをとてもうれしく思います。
 愛さえあれば性別なんて!と、あえて言わなくとも、それが当たり前になる日が来れば、きっと今より多くの人が幸せになれるのだろうな、と笑いの合間にふと感じました。
(春ですね Y.I)

弓澤公望さんにお会いして

事前学習会で、弓澤公望さんにお会いし、とても気さくにご自身のエピソードやNLTの活動の裏話も聞かせてもらうことができ、例会への期待が高まりました。
 度々「忙しいから会員を続けられない、止めようかしら?」と自問自答している私ですが、舞台を観ると一瞬にして「やっぱり、演劇は観続けたい。
止められない!」に変わります。
 今回は、性同一性障害がテーマなので、どう演じてくださるのかと、少々不安な気持ちでいたのですが、始まると演技に釘付けとなりました。
大声を上げて何度も笑いました。前列の老男性は地だんだを踏んで楽しんでおられました。
公演後のロビー交流会で俳優さんから「観客と一体になれて、こちらも楽しんで演じられた」とお聞きし、一流の役者さんがすごく身近に感じられ、とても幸福な一夜でした。皆さんありがとうございました。
(すみれ1班  笠原徐栄)




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