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第70回例会

2012年4月26日(木)

加藤健一事務所公演 

 川を越えて、森を抜けて 


作:ジョウ・ディピエトロ 訳:小田島恒志 平川大作 演出:高瀬久男


美術:倉本政典   照明:森脇清治   音響:松本昭   
衣裳:竹原典子   ヘアメイク:馮啓孝  舞台監督:鈴木政憲

キャスト
加藤健一 フランク・ジアネッリ(ニックの母方の祖父)
竹下景子 アイーダ・ジアネッリ(ニックの母方の祖母)
小山萌子 ケイトリン・オヘア
山本芳樹 (Studio Life) ニック・クリスターノ
一柳みる (昴) エンマ・クリスターノ(ニックの父方の祖母)
有福正志 ヌンツィオ・クリスターノ(ニックの父方の祖父)

 

アメリカ・ニュージャージー州の小さな町に住むフランク(加藤健一)、アイーダ(竹下景子)夫妻。2軒隣には娘の夫の両親ヌンツィオ(有福正志)とエンマ(一柳みる)夫妻の家があり、孫のニック(山本芳樹)も祖父母たちの近くで暮らしている。
毎週日曜日には、みんなでいっしょにディナーを食べる仲の良いイタリア系の家族だ。
ある木曜日、仕事の都合で遠くシアトルに引っ越すことになってしまったニックは、日曜日を待たずに祖父母たちに報告に来た。
突然の発表におどろいたおじいちゃん、おばあちゃんたちは、ニックにシアトル行きを中止させるために“お見合い計画”を思いつく。
数日後の日曜日、いつものようにディナーにやってきたニックは、エンマの知り合いの若い女性・ケイトリン(小山萌子)を紹介される。
シアトルに行くか、町に残るかを決断できずにいたニックはディナーの後、発作で倒れてしまう。
それから数日間、ニックはフランクの家で過ごし、今まで目にしたことのないような祖父母たちの姿を見る・・・。

本当の家族の愛とは?絆とは何か。 

ニックの出した結論は・・・・・

加藤健一事務所公演   
 『川を越えて、森を抜けて』    作:ジョウ・ディピエトロ 演出 高瀬 久男

副題は、家族の絆や思いやりの心を暖かく描いた ハートウォーミング・コメディです。
震災の後、家族も含めた「絆」という言葉が大きく取り上げられました。忘れかけていた人と人とのつながり、人を思いやる気持の大切さを、このお芝居が教えてくれています。
 この作品は、家族の話を中心にした会話劇。両親はフロリダに、妹メリッサはディエゴに移り、ニックの両親と妹は遠く離れています。
家族に対する思いが非常に強い性格をもつ、イタリア系ファミリーの祖父母達にとって、最愛の孫(ニック)が可愛くて、心配で、いつまでも近くにいてくれて、毎週ディナーを一緒にするのを楽しみにしています。
    然し、ニックに転勤の話がでると、祖父母達は、私達を捨てていってしまうのかと悲しみます。
それでも、祖父のフランクは体の不調を分かっていても、孫のニックには心配をかけたくないので言い出せません。
なんとか引き止めたい祖父母達は、お見合いを計画します。祖父母達と孫のすれ違う価値観と、噛み合わない会話の応酬が続きます。
加藤健一さんは、「一言一言の台詞のすばらしさに引かれました。こういう台詞、しやべってみたいなと思う台詞がたくさん並んでいる。
だから役者達の会話を楽しんでいただきたいですね。会話がオシャレなところに、きっとお客さんも引き付けられると思います。
感動しながらも大いに笑っていただければと思います。」と述べておられます。
    また、このお芝居の見所は、会話の面白さは勿論ですが、加藤健一おじいちゃん、特に、孫に会うたびに「お腹すいてない、はらぺこだよね」と料理を作ってくれる、チャーミングな竹下景子おばあちゃんの演技に注目です。
ちどり 藤田幸男
世代を超えて、誰でも楽しめる加藤健一さんの世界にどうぞご期待下さい。


『事前学習会』 川を越えて、森を抜けて  
  「主役の加藤健一さんを囲んで」



日時:  2月11日(土)14時~16時
場所:  彦根市民会館  2階会議室

参加人数: 28C 48名参加 ≪内、運サから12C、22名参加(3名は未入会)内、幹事10名≫

「主役の加藤健一さんご自身がお話し下さる!!」とのことで、急な設定にもかかわらず多くの参加者でした。今回の事前学習会は、加藤さん自身生まれて初めての講演で、通常のインタビューに答えるだけのもの ではなく、『演劇鑑賞会の新しい仲間を増やし、運営サークルが楽しくなり、そしてより多くの人に 声を掛けてもらえるような話をしなくては』との熱い思いと素敵な声が会場に響きました。


◇加藤さんの経歴・芸歴
加藤さんは、静岡県磐田市出身、1949年生まれの62歳。
高校時代は演劇部で東京の小沢昭一先生が師匠の「劇団俳優小劇場」に所属。同期に市毛良枝さん、一期下に風間杜夫さんがいます。
1年半後に解散、劇団を21歳で卒業後、自分のやりたいことができるからと3人くらいで劇団を作ろうと思いました。
つかこうへい作の「熱海殺人事件」を小劇場からスタートし、つかこうへい事務所にも所属し、多くの舞台をこなしました。
藤山寛美さんにあこがれ舞台役者になりたくて、「自分のやりたい舞台を」の思いから30歳の時に、『一人芝居ならしたいことできる。』と加藤健一事務所を立ち上げました。最初の作品は江守徹さん主演の「審判」で今年で32年目。
今回の「川を越えて 森を抜けて」は103本目となります。
その当時芝居だけでは食べられないので、テレビデビューは、西田敏行さんとの「三男三女婿一匹」、2本目は、山田太一さんの「想い出づくり」、その後「金曜日の妻たちへ」からは、浮気や殺人事件など多くなってテレビが好きじゃなくなってきました。
20数年テレビには出ていません。最近では、NHKの「遥かなる絆」、映画では「麻雀放浪記」「椿姫」などに出演しています。
自分のやりたいことをするには、プロデュースをするしかありません。
自分でお金を出し、自己責任で台本を選び、キャストの人選等、ポスターのデザインもします。
プロデュース公演で大事なのは、台本選びで年間200本以上の戯曲や作品を読みます(今年は、213本)。
上演するかもしれない本を何度も読みます。
30年もやっていると「舞台役者」が生業となり、今は他の事をしなくても舞台をやっていれば生きていけるようになりました。
他の事を考えずに舞台の訓練に没頭でき、「詩人の恋」の時は歌を10年くらい勉強しました。
今はこの仕事に邁進しています。楽しい毎日です。
新劇系の私たちは、演劇鑑賞会があるおかげで存在しています。観劇の文化を皆さんで守ってほしい。
プロの役者は、売れるとテレビに出てしまいますが皆の力で舞台俳優を育ててほしいと思っています。
加藤さんは、ご自身のことや演劇に対する思いなどお話をされた後、インタビューや質問に気さくに答えてくださいました。

◇俳優、演出家、プロデューサーなどといくつものお顔をお持ちですがご自身どの顔が好きですか?
プロデュースは、あくまでやりたいことをするためで、役者が一番したいです。
演出も時々するんですが、わかりやすいのは他の人にやっていただいて、これはちょっと人に任せるとダメになるなあというときは自分でします。
やはり役者が一番面白い。後の仕事は疲れます。
役者は、精神的な疲れもなく、作品を通して本の力で新しい自分を発見することができます。
自分を解放でき、とても健康には良いと思っています。
舞台俳優は、開演時間が決まっており、飲む時間さえ決めていればものすごく規則正しいんです。 

◇加藤健一事務所を立ち上げられ今までで困ったことは?
事務所経営では、やるだけやって潰れたらしょうがないと思っています。
企業のように守ろうとして守りに入ったら芸術集団ではなくなる。
潰れたらあちこち出させてもらったらいいし、私は、自分に自信を持っているので役者ができないわけでもない。
「審判」のセリフを覚えるのに苦労したことがあります。手話の演技や「詩人の恋」の歌も大変でした。

◇役者さんを選ばれるときのポイントは?
いいものを作る楽しさが一番なので、稽古を楽しめる人や稽古場で遊べる役者。一緒に遊んでいて楽しい人。
誰とやったらお客が入るかより誰とやったら面白いか、情熱があるかが大事です。
これも私の生きている時間の楽しみの一つで、この人とやると私の人生が楽しくならないと意味がないですね。 

◇これからの目標は?
一つずつ夢がかなって、忙しい風間杜夫さん、戸田恵子さんや高畑淳子と共演できることになりました。
息子が主役として出るのを楽しみにしています。
これからも自分が楽しむためにも、力のある人とやれるようにしたいと思っています。

◇一年の演目数は?
5本で全部主演します。来年は、4本で、通常は3本です。
ステージ数は、180が目標です。

◇「詩人の恋」のピアノの演奏は、歌いながら指使いがすごかったのですが、ピアノを弾いておられたのでしょうか?
役者は、いろんな方法を使いながら…    残念ながら企業秘密です。

◇加藤さんは、お父さんとして息子さんにどのような背中を見せてこられましたか?
子どもたちは、歩く前から稽古場に連れてきています。
特別な教育はしていませんが、劇場で会っている時間の方が長く、息子は役者として5年くらい活動しています。
名前は、「加藤義宗」です。
 「モーリー先生との火曜日」で共演します。

◇「劇場へ行こう」のポスターを作成いただきましたが、作成の経緯は?
最初は、東北地方の会員が半分になったと聞いたので、会員が直接増えるためにポスターを作成しました。
減っているのは全国も一緒なので、15000枚加藤事務所がデザインし印刷しました。
俳優20人の写真は、声を掛けて共演した方々全員協力いただきました。
当日は、こだわりのギター持参で来て下さり、舞台の挿入歌の「Yes sir, That’s my Baby」の歌を参加者全員で歌いました。
運サの折には毎回歌い舞台を盛り上げたいと思います。

加藤さんの演劇に対する真摯な姿勢に感化され、歌声といいとても心地よい事前学習会でした。
最後に加藤さんは、『まわる全団体クリアをやってみたい。』と力強く締めくくられました。

参加者の感想
★加藤健一さんのこと、プロデュースのこと良く分かりました! 素晴らしかったです。
★なんて人間味あふれる方なんでしょう。加藤健一さんって!「人生は楽しくなくちゃ」オーラがかとケンさんの周囲に・・・・・(?) 4/26の日が待ち遠しいです。「一緒に楽しんでくれる人々」と作られた舞台ですものね。(by わかば)
★雪が降ったらやめようと思ったのですが、良いお天気になって寄せて頂きました。まだ30㎝位の雪があるんです。裏話的にいろいろおもしろかったです。有難う!
★大変有意義な時間でした。色々なお話しが聞けて楽しかったです。
★加藤健一さんご本人からお話を聞かせて頂いて、加藤さんの人柄や今回の舞台の楽しさを伝えて頂いた。生のギター演奏で皆が歌って、4月の公演が今から待ち遠しい。加藤健一さんとの距離が、今回の学習会で身近に感じられた。鑑賞会に入会して貰う為のポイントとかを伝えて頂いたので、4月の公演日まで一人でも会員を増やせたらと思う。
★参加させて頂いて良かった‼ 楽しかったし思いがけない苦労話が・・・お芝居大好きです。
★非常に良いお話しをありがとうございました。人生をかけて毎日お過ごしのご様子を伺い、大変感動致しました。次は運サです。頑張らねばと思っています。
★加藤健一さん自身の言葉で実体験、生き方、演劇への思いが伝わってきた。本当に役者が好きだと言われたが、幸せな方だと思う。この芝居でどれだけ楽しめるかという事を考えて(どれだけ利益を上げるかは考えない)という事だが、今回のお芝居がとても楽しみだ。すごく楽しい人だと思った。(人間味豊かな人柄だ)毎日戯曲を1つ読まれるのも驚きだった。(素晴らしい)
★加藤さんの演劇にかける想いが十分伝わってきました。楽しい時間をありがとう。
★芝居をすることが楽しいと言う加藤さんのお話し、本当に楽しく聞かせて頂きました。
★初めて事前学習会に参加しました。間近でお聴きする声は良く通って素敵だなあと思いました。気さくな方で、お芝居を愛して楽しんでおられてファンになりました。
★親しく楽しく話してくださって、よかったです。
★お仕事が、大好きな舞台をされているので生き生きされていますね。最初から最後まで楽しいお話しをありがとうございました。舞台俳優を育てるのは、演劇鑑賞会だと聞いて、本当に会がますます大きくなって長く続く事の大切さをセツに思いました。
加藤健一さんの事務所が増々発展されますように。又、川を越えて~ をとても楽しみにしております。
★京都で舞台を観た時からのファンです。今日は楽しかったです。夜勤明けで途中少し寝てしまいましたが、ありがとうございます。
★加藤さんの真摯な姿勢に、わが身を反省する事しきり・・・ 1949年生まれ、同じ年なんです。『楽しく生きる‼』これは私も原点にしています!! だから、加藤さんの生き方にビンビン共鳴しました。加藤さんの力を沢山頂き、運サを盛り上げたいと思います。クリア!! はまず間違いなし! 又、お会いできるのが嬉しい~ 待ち遠しい~
★とても楽しいお話し意義深く聞かせて頂きました。
★大変いいお話しを沢山聞かせていただき為になった。運営サークルの意味や役者さんの取組み等感動しました。
★主演の方にお話しを聞けて良かった。情熱が伝わってきました。
★人生――生き方、好きな事を生涯かけて続ける事、楽しむことの大切さも大事だという事が良く分かりました。公演が楽しみです。中々舞台演劇を観る機会がないので、鑑賞会でできるだけいろんなものを観たいです。
★とてもおもしろかったです。演劇には興味がありませんでしたが、ちょっと劇場に行ってみようと思ってしまいました。自分が楽しんで、楽しんでもらう、と言う主旨が良かったです。
★とても素晴らしいお話しでした。情熱あふれる内面を伺えた。鑑賞会を重く見ておられる事も分かりました。舞台はやっぱり良いですネ。
★加藤健一さんの熱意が伝わってきた。楽しくギターを奏しての歌を皆で歌うことができ、益々団結力(演劇鑑賞会・運サ)が高まったと思う。会員への勧め方のノウハウを教えて頂いて、早速勧めよう!! 気取らず前向きの姿勢の加藤健健一さんの改めてファンになりそう。

「川を越えて、森を抜けて」
加藤健一さんと竹下景子さんにインタビュー




●おじいさん、おばあさんの役作りにご苦労された事とは?
【竹下さん】 加藤さんは幅広くいろんな役をこなしておられるので、最初からフランク役がはまっていてすごいなと思っていました。
私は舞台の上でおばあちゃん役の経験もまた翻訳劇自体経験もなかったので、この再演にあたりうれしく思っています。
夫婦の絆と、二組の夫婦の有様、何気ない日常の積み重ねのなかで孫のニックを通してできるお互いのコミュニケーションの妙というのでしょうか、日常的ですけど家族とか夫婦とか親子とか、普遍的なテーマをあんなに良い戯曲でさりげなく書かれていることに、今回改めて気がつかされました。
翻訳劇は言葉や国も違い、生活習慣も違っていても家族の中に流れるものは同じということにようやくたどり着けたような気がします。
演出の高瀬さんも人情の機微といいますか、そういうのを的確に表現する方法を微に入り細に入り言ってくださるので、またパッと違う視点が生まれたりします。演出家と加藤さんをはじめ家族のような共演のみなさんに恵まれて、毎日楽しいです。
そうした思いが演技に出るんだと思います

【加藤さん】 おじいさん役については、いつも80歳にしては声が元気すぎると言われるんですよ。
千人入る劇場で千人の人にセリフが聞こえるようにすると、本当の80歳では難しいです。
だからちょっと若く見えてもいいからセリフを聞いてもらえるようにしています。リアルな80歳を作るのではなく、若い人が化粧をして年寄り役をやっているような、童話のような創りものを作りたいと思っているのですが、なかなか創れないです。
そこが役作りの悩みですかね。

●フランクとアイーダにとっての家族とは?また二人から見たフランクとアイーダに共感できるところ、できないところは?
【加藤さん】 違う国に単身14歳で来て作った家族なのでより結びつきというか、家族は一緒にいないといけないという思いが強いのだと思うんです。でも息子夫婦は先に遠いフロリダへ行っちゃうし、一人だけ残った孫も最後にどこかに行っちゃうというのは、おじいさんおばあさんにとってはすごいことだなといつも考えるんです。
自分も両親とそうでした、盆と正月に逢っているとあと何回会えるって分かってきちゃう。
フランクとニックもあと指で数えられるほどしか会えないということを思いながら演じています。
フランクと僕はほとんど違うところがないですね。作家の書いたフランクと僕の中からでたのを混ぜたフランクなので別に何かが足りないというわけではありません。
僕ら役者はあまりテーマとか難しいこと考えてないですよ、演出家に言われた通り演じて、書いてある通りしゃべっているだけです。
役者がやらなければならないのは役に元気の気をふくめるということ、元気の気をお客にばらまくということです。
言われた通りやっていれば作家の書いたことが自然と伝わるものです。
作家が伝えたいことを伝えるだけなら本読んでもらえればいいのですが、役者が演じるというのはそこにキラキラっと光るものを付け加えたり、なぜか本読むより元気がでたとか、それが役者の仕事なのだと思います。

【竹下さん】 この「川を越えて、森を抜けて」に限らず加藤さんはプロデューサーでもいらっしゃるので、まずご自分がおやりになることを想定して本を読んでいらっしゃるわけですよね。だから違和感がないのかなとお話を伺いながら思いました。
一方的にこれをやりなさいというのとは違って、もっと積極的にその作品に関わってらっしゃるので、ああ~そうなのだなと深くうなずいていました。
家族の愛情って、愛してもらうとすごく嬉しいけれども、自分が愛する人が自分の側に居てくれて、その人から返ってくるものが自分を元気にしてくれる。だからアイーダにとってはフランクが自分の生きがいであったし、この二人の関係が続いていくなかで娘が生まれ孫が生まれ、孫にいたってはもう大きくなって欲しくない、いつまでも私の腕の中にいて欲しいと思っているわけですよね。
それはおばあちゃんのわがままであって、当然人は育っていくし、違う世界を持っていくわけですから、最終的には孫の望むことを叶えてやるのが自分たちにとっても一番の喜びだということを納得するわけですよ。別れのシーンは今思い出しても泣けて来ちゃうんです。
ほんとうに人生っていうのは出会いであり別れ、旅立ちだなと思います。
これが親子のストーリーだともう少し生な感情のぶつかり合いが描かれるんでしょうけれど、この芝居の素敵なところは孫とおじいちゃん、おばあちゃんというところで、さっき加藤さんがファンタジー・童話みたいとおっしゃいましたけれども、このストーリーのなかのこんな家族が実際に居たらいいかなと思いますね。
私自身は名古屋で生れて東京に出たくて、大学を卒業したら実家に戻る約束で家をだしてもらいました。
でもそのまま縁あって仕事が続けられたので実家とは縁が切れてしまったわけです。
今思えば私の親も高校を卒業したときアイーダさんと似たような気持ちで見送っていてくれたのかなと思います。
また、年を取ってからの伯父、叔母なんかをみていても、また父方の亡くなった叔母なんかも「こんどはいつ来るの、いつ来るの」って言って、でなかなか会えないんです。ほんとはヌンツィオと同じでその叔母も癌だったですけど誰にも言わないで、会いたかったんだと思います。
そういうことってあるんだなと思いながら毎日やっています。

●鑑賞会に対する思いで何か変わったことがあったのでしょうか?
【加藤さん】やっぱり3・11で東北ブロックがあのようになったことでもっと積極的に動かなければと、私たちがやれることは何なのかなというのを考え、手さぐりですが出来ることはやっていきたいなと、事前学習会も行けないところがほとんどなので、どんな事前学習会をやったのか分かるようにDVDを作りました。また他の手段も考えていこうと思っています。手紙も直筆のほうがいいと思って書きました。

●演劇鑑賞会の旅公演は?
【竹下さん】 私は演劇鑑賞会の旅公演は2度目で、7年前に地人会の公演で中部と北関東にいきました。
こちらのエリアは初めてで、みなさん温かく迎えてくださいます。
お食事のお世話もしていただき、ご当地ご当地の心づくしを頂いています。
みなさん、準備までに何カ月もかけて下さり、最後の会館の撤収作業も全部手作りで、お家に帰れば普通のお母さんであったり、お仕事をもっておられる方が多い中で、これを継続していくことはさぞや大変だろうなと、ただただ感謝しています。
胸が一杯になります。
彦根はワンステージなので終われば、後ろ髪を引かれる思いで次のところに行かなければならなくって…

「川を越えて、森を抜けて」運営サークルに参加して
加藤さんの励ましに元気をいただいて


 

事前学習会で身近に加藤健一さんのお話を聞かせて頂き演劇に打ち込む情熱と、意気込みはすごいという印象を持って運営サークルに参加しました。一番の悩みは新入会員さんをどこまで増やせるか、毎回の課題で毎回みんなの頑張りが伝わってきました。
運サを何回か重ねる中、加藤健一さんから自筆のお手紙やおハガキ、温かい応援に元気と力を頂き、みんなで感動しつつ本番を迎えました。
自分と重なり本当によく笑い、家族の幸せとは何か、心の奥に触れ涙しました。人と人とのバトンタッチが心に残りました。
そして思いがけない俳優さんからの花束のプレゼントを頂かれた方々の笑顔を見られて良かったです。
交流会では沢山の方々が残って楽しんで下さり、特に入会された方々は俳優さんとの握手に感動され大喜びでした。
会員も600名達成でき、大成功に終わって良かったです。(ふきのとうⅡ  吉田)


朝起きると外は小雨模様。長い一日の始まりです。午前9時より搬入のお手伝い開始。
この部材はどこに使われるのだろう?そんなことを考えながらふと目に留まったのは一枚の扉でした。
午後6時半より「川を越えて、森を抜けて」の上演開始。
孫のニックと4人の祖父母との間で交わされる愉快なやり取りに思いきり笑い、家族の絆とは?
と改めて考えさせられるほのぼのとしたお話しでした。そんな暖かい家族のいる家から飛び立とうとするニック。
あの扉はそのことを象徴していたのかもしれませんね。
そして上演後に行われたロビー交流会。司会を仰せつかり緊張の中で始まりましたが、たくさんの方にお集まりいただき、又、出演された俳優の皆さんのきさくなお人柄に触れ、貴重なお話をたくさん伺うことが出来、本当に楽しい一時をすごさせていただきました。
運営サークルの皆様お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
私の長い一日はこうして終わり、心より満足して眠りについたのでした。         (カーテンコール 池田 尚美)


まだ寒い2月のある日のこと。「運サの日だ・・・観るのは大好きだけど運サはね・・・」と重い体をヨイコラショと持ち上げて、演鑑事務所へ。
そんな消極的スタートが、終わってみるとなかなか味があっておもしろかった。
それはあの加藤健一事務所の方々が、運サのメンバーに熱いエールを送り続けてくれたから。
それがジワジワとみんなに広がって・・・
”うん?花束を客席に投げる? いいね それ!”
”えっ、ロビー交流会に俳優さん6人全員参加だって? すごいね!”
”運サの新入会の人たちと俳優さんの握手? それもいいね、やろうよ!”etc.etc.
そうしているうちに、ちょっとずつ、ちょっとずつだったけど、みんなの気持ちがあったかくなってきたのでした。
例会当日は並んだお通しを見て「わぁ美味しそう」と喜んでもらい、たくさんの運サメンバーが作業しているところに加藤健一さんたちが「ご苦労さま」と来てくださり、本当に運サのみんなに気を配っていただきました。
そして最後のロビー交流会にはすごくたくさんの人たちが集まり、大盛況! 
お芝居も笑いあり、ちょっとホロリとしたりして。家の小さな孫の顔を思い浮かべ、心に栄養をたっぷりいただいて、体も心もほんわかしての帰り道でした。
エールを送り続けてくれた加藤健一事務所のみなさん、ありがとう! 運サでがんばったみなさん、無事に終わってよかったね、お疲れさまでした! そして次の運サのみなさん、劇団の人たちと一緒にがんばると運サも楽しめるかも?!     (あやめ2 Y.K)



「川を越えて、森を抜けて」アンケート結果

▼面白くて愉快な物語。あんなに仲良く暮らせるなんていい事だと思います。加藤健一さん好きです。
搬出の時来て下さって嬉しかった。景子さんのおばあさん役素敵でした。
セリフが長いのに感心でした。ちょうど良い場所で観られて良かった。
▼今日の公演を大変楽しみにしていました。加藤さんのファンとしてはとってもハッピーなひとときでした。
できれば毎年彦根に来てください。本当に有難うございました。次回を楽しみにしています。
▼祖父母と孫の話がどこまでもかみ合わないことからくる笑~とても楽しいお芝居でした。
また、その中に流れるお互いを思いやる心の優しさ温かいものが心に一杯残る素晴らしい劇を有難うございました。
▼こんな素敵な祖父母に私もなりたいと思いました。これから少しずつ努力していこうと思います。
テレビ、映画で間接的に演技を見て、それなりに良いと思っていましたが、直接目の前で見られて一体感覚を感じることができ本当に良かったと思いました。
▼何気ない会話に愛情がいっぱい、心あたたまりました。
▼最初はどこが見どころかな?と思っていたのですが・・・役者さんの演技のすばらしさに段々引き付けられました。
家族の在り方、自分の生き方、最後孫のシアトル行を送り出し、自分の病死を目前にして告げなかった祖父に感動しました。
自分だったら・・・と祖父母のあり方を教えさせられました。
▼テンポある日常的会話がリズミカルで楽しかった。そしてジワッーと涙腺が・・・その感覚も自然で一体感を劇場全体に醸し出していた。
素晴らしい作品でした。
▼現代社会の抱えている問題のひとつに高齢者との関わり方があります。
今回の作品では、その関わり方がお互いに良いのか・・・を、示してくれたように感じます。
家族のあり方、ステキな年齢の重ね方を学ばせて頂きました。


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