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第68回例会

2011年12月8日(木)

テアトル・エコー公演 

 フレディ  

作:ロベール・トマ  訳・演出:上原一子

<CAST>
フレディ:安原義人 、パパ・ジゴ:田村三郎
ニコラ:川本克彦 、ブイッス:山下啓介
ポリュス:後藤敦 、アントニー:瀬下和久
エヴァ:きっかわ佳代 、マルゴ:杉村理加
ルル:さとう優衣 、ラウル:加藤拓二
テレーズ:薬師寺種子、リュドミール:田中英樹
ムハンマド:川田栄 、ナイジェル:松澤太陽
ピエール:大和田昇平 、サラ:澤山佳小里

監修:熊倉一雄 振付:小川こういち 装置:大田 創
照明:東原 修 衣裳:西原梨恵 音響:山崎哲也
サーカス技術指導:西田敬一  舞台監督:金子武男
制作:白川浩司

 

『フレディ』殺人容疑で団長逮捕 サーカス人気回復

フレディ・サーカス団は、時代の流れとともにテレビに客を奪われ、経営難に陥り、動物の餌にも事欠く始末。
金策に明け暮れる団長フレディは高利貸の〈出資者〉ベルグ男爵夫人を訪ねる。
しかし、1フランも貸してもらえず、「サーカスをやめて私のところに来ない?}と迫られ、〈強姦〉されそうになる。ほうほうのていで逃げ帰るが、相棒に息子のニコラがサーカスをやめて弁護士になりたがっていると知らされる。
ニコラは「父さんは天才クラウン(道化師)だが、有名でないから客が入らない。
スキャンダルでも何でもいいからマスコミに宣伝すべきだ」と言う。男爵夫人が射殺されたことを告げると、「有名になるチャンス。真犯人が捕まるまで犯人の振りを」と提案。
そこへ、ポリュス警部が現れ「犯人はあんただ」と自白を迫る。
ニコラの言葉を思い出したフレディは、有名になる誘惑に負け、警部の誘導にのり、〈自供〉をしてしまう。
しかし、さあ連行というとき、「舞台で捕まえて!」と叫び、さらに、「観客の前で手錠を。新聞記者に連絡し、その瞬間を撮影して貰おう」と提案。
警部は「自分も有名になり、出世のチャンス」と喜んで同意する。起死回生の大博打に出るフレディ。
マスコミはこのネタに飛びつき、大衆は、悪名高い高利貸男爵夫人射殺〈犯人〉フレディを英雄視。裁判では、無罪を勝ち取る。
すっかり有名になって、かつての人気を取り戻したフレディ・サーカス。ところが、自分が真犯人だと名乗る女がフレディの前に現れ、さらに…。
「男爵夫人の暴力から身を守ろうとして誤殺。正当防衛」の主張が通る都合のよさ。
「正義感溢れるこの男は、この世の害虫を社会のために駆除したのであります」という現実にはありえない弁護。
しかし、これは爆笑コメディ。そんな理屈を忘れて楽しめる。
「愛欲に狂ったワニ、サルのような顔、カバのような胴体、狼のような鋭い歯! あれは人間じゃない、一人動物園だ!」など、男爵夫人への悪口には笑える。
玉乗りフラフープ、クマの一輪車での綱渡り、アクロバット、ジャグリング、一輪車、マジック、バルーンアート、楽器演奏、高脚ピエロなども楽しめる。
傍聴券を密売する執行官、情報提供し謝礼をもらう警部など、小役人批判よりも、「相続税80%?! この国はぼったくりバーだ!」のような風刺がもっと欲しかった。
トップモデルと再婚、自家用ジェット機・豪華ヨットで豪遊、自身の給料を2倍にしたサルコジ大統領。
TPPで日本の農業を壊滅させるドジョウ首相。それらを想起させるような茶化しがあればと思った。

1969年仏初演。1978年にはトマ自身が監督映画化。ポリュス警部役で出演。
チラシには空中ブランコ、ライオンの火くぐりの絵があるが、それは舞台には出てこないのでお許しをm(_ _)mとのこと。
           (堀田C 堀田良夫)

   「フレディ」事前学習会
テアトル・エコー制作部長白川浩司さんをお迎えして

去る、11月7日(月)19:00〜20:30 彦根市民会館会議室において、テアトル・エコー制作部長白川浩司さんをお迎えして、第68回例会「フレディ」の事前学習会が、11運営サークルから19名、その他13名、総勢32名の参加を得て開催されました。
今回の学習会は今までの学習会の中でも印象に残る言葉が多かったように思いました。
劇団の生い立ちの話の中では、初期のテアトル・エコーに所属して多くの作品を書かれた井上ひさしさんの作品には「笑いの中に怒りがある」とか、熊倉一雄さんの「喜劇ほど社会を映すものはない」とか・・・・。「フレディ」の出来映えをみたいものです。
この劇のキーワードはサーカスですが、劇団員の取り組み方が半端でない。大勢の若手劇団員が群馬県のサーカス村に合宿して猛特訓をした話。フラフープ玉乗り、是非注目です。また、演劇は「幕開けが大切だ」と、どんな幕開けか楽しみです。
東北での被災後の演鑑の話では、運サの大切さ、人と人との連帯のすばらしさを実感できたと話され、「演劇鑑賞会と劇団は車の両輪」であるという意味がよくわかりました。
また、各地の演劇鑑賞会の置かれている厳しい現状についても具体的に話され、運営サークル活動の重要性が熱く語られ身が引き締まる思いがしました。
質疑応答の時間では、司会者の配慮もあって活発な意見が出されました。
一例を挙げますと、89歳の運サ担当の方は「私に出来ることは手紙を書くことぐらいしかないので手紙を11通書きました」とおっしゃるのを聞いて「自分にも出来る事を実行しよう」と決意しました。
あっという間の一時間半でしたが、白川さんのお人柄と熱意によって高ぶった気持ちが夜の冷気に心地よく感じました。                    (那須C 荻田)              
  
  
   
ひこね演劇鑑賞会ではテアトル・エコーは初めてむかえる劇団ということもあり、どんな劇団なのかな・・この日がとても楽しみでした。
テアトル・エコーは現在約100名の団員で、恵比寿に130のキャパの劇場を持ち、年に4〜5本の作品をつくりながら、鑑賞会も回りながら、ひたすら喜劇だけを演じ続けている劇団です。
歴史は古く55周年。最初はテアトルコメディから始まったそうです。 
そして、かの有名な作家である故井上ひさし氏は、テアトル・エコーから芝居への道に入ったのでした。
喜劇、また、小劇場にこだわっていることなどのお話がありましたが、メインの例会作品“フレディ”については喜劇&サスペンスなので、あまり、触れることはなく、というか、あまり説明するとお楽しみが減っちゃうので。 
そして最後に演劇鑑賞会のお話もありました。 全国的に会員が減少していること。 
四国の阿南市で鑑賞会が一団体解散したことなど。お話を聞きながら、鑑賞会ってすごいことをやり続けているのだと改めて思いました。
みんなで会員を増やして演劇を楽しむ。 演じる人も観る人も同じ空間で味わう感動。 
劇団も会員も演劇文化をつくり続けている仲間。 
震災の時、「東北演劇鑑賞会で、まだ避難所で生活している会員さんが、早く日常を取り戻したいからと、会費を事務所に持参してこられた」という話に感動し、事務局も復興の見通しも持てない中、2ヶ月後に例会をやめないという方向を出したそうです。
胸が熱くなるお話しでした。 全国の鑑賞会が存在するからこそ、彦根も観続けられるのです。 
まさに“連帯”。その事を忘れず、運営サークルをがんばりたいと思いました。 
白川さんの言われるように、“演劇はコミュニケーションの芸術”だということも。
運営サークルだけでなく、会員みなさんと聞きたいお話でした。
   (青春アミーゴ サカイクミ)

▼今日の事前学習会は、ためになる話で運営サークルのことではドッキっとし、東北の避難所の話ではジーンとくる話でほんとうためになる事前学習会でした。
▼玉乗りの球はいくらぐらいするんですか。【白川さん:おいくら万円です】
▼観客との一体感、幕開けが大事とのことで工夫されていることがすごいなと思いました。お客さんを受け入れると言うことを考えていられるのを初めて知って、演劇って大事だなと、演劇を毎回観ても違うし、相手側の気持ちを観客が受け取る、今回の作品が楽しみです。
▼事前学習会に来てよかったです。素人劇団をしていて、劇団の大変さも少しわかった気がします。こんどの演劇、幕が開いてからが楽しみになりました。
▼白川さんのお話が上手で、人の心をつかむのが上手いなと、最初に演劇とは人と人のコミュニケーション、心と心のコミュニケーションといわれたのは、まさにその通りだと思います。今回は運サで前のほうで観られるので、役者さんの息遣いも楽しみたいと思います。
▼先ほど四国の演鑑が無くなった話を聞いて、彦根もどんどん会員が減って彦根の運サはどうですかということ、もう一度運サの在り方というか、同じ運営サークルでもいろいろですよね、個人によってもとらえ方いろいろあると思うんですが。運営サークルの在り方、意識がいまのままでいいんだろうかと思えまして〜。それと、いつの例会でも感じるんですがもうすぐ始まるよと暗くなってきてもザワザワとしていて、個人で期待して待とうという人もいれば、そうでない人もいるし、ばたばたと入ってくる人もいるし、幕の向こうで演じて下さる方に申し訳ないなという思いがいつもあります。そういうことも運サの中で話して、みんなの意識を変えていけたらと思います。
▼事前学習会初めて参加したのですが、吉本新喜劇にはじまり喜劇が大好きでわくわくして観にいくのですれけど、今回は喜劇だと聞いてもうわくわくしています。またサーカスもあるとのことで12月8日を楽しみにしています。
▼車も乗れなくなったので、見込みのある人に12通の入会のお手紙を出しました。一割ぐらいはと思います。89歳で座っているだけですが、それでも何かの存在意義があるかなと…、50年も若い人たちと話ができるのは運サのおかげかなと思っています。
▼私も季節で運営サークルをしています。事前学習会も初めてです。
制作は多岐にわたっているので印刷物、大道具、小道具、会場から、非常に目配りして、大変な仕事ですね。一番しんどいのはなんですか?【白川さん:多岐にわたる仕事で、たとえば、よく鑑賞会では、お茶くみから哲学までが事務局長の仕事だなんて言われています。それは制作者にもいえることだと思います。劇団の運営も経営も、また、ギャラを誰にどれだけ払うのかも私がします。打ち上げの会場も設定もしながらみんなが楽しんでいる間、私はお酒を飲んでも酔えません。
大事にしているのは目の前にいる人を劇場にどうしたら誘えるのか、手渡しする一枚のチラシに僕たちの芝居の想いをこめているわけで、そうしたチラシをつくることも大事だし、劇場にこさせるためにどうするのかを考えています。辛いのは、役者はセリフがでてこない夢をみるといいますが、わたしは、劇場が観客でいっぱいになっている夢をみますね。一杯になってないことが辛いですね。】
▼客席との一体感をどのように作っていくのか期待しています。それを上手く伝えて会員を増やすための手掛かりとしていきたいと思います。どんなワクワク感があるのかいまから楽しみです。
▼劇団、鑑賞会のことも伺えてとっても勉強になりました。
▼ふまじめサークルの代表で、12通もお手紙書いたって方もおられるので、自分を戒めて何かしないとあかんなと思いもするんですけど、有言実行か有言不実なのか「人は変わる」とおっしゃっていたので少し時間をかけて見守っていてください。
▼ふまじめなサークルの一員ですが、演劇を楽しみたいと思います。やめずに来ています。
▼演劇がすきなので一人で入って、日常を離れたいという思いで演劇をみているので、友達といっしょにという気持ちがありません。また人間は変わると思うので見守ってください。関わったところで協力はしていきたい。演劇はがんばって観続けていきたいです。
▼芝居が好きではないのですけど、横文字・外国物は筋もわからないのでほとんど寝ています。今回も横文字なのでどんなのかなと思っていましたが、先ほどのお話から寝ている暇は、なさそうで楽しめるのかなと思っています。もうちょっと分かりやすい、昔の新劇というか、大衆にもわかりやすいものを観たい。劇団の名前のテアトルとはどういうことですか?【白川さん:テアトルはフランス読みしていて、シアターは劇場で、エコーはやまびこで、劇場やまびこ、みたいな感じでテアロル・エコーとしています。】できることは、ずっと観続けていますので命のある限り、やめずにやっていきたいです。
▼白川さん見た目も中身も素敵でした。なんだか久し振りに爽やかな思いに慕ったかな?
「演劇での出会いを大切にしたいから、今日ここに来ました」から始まって「劇は幕開けを大切に」「現在の合理性は商業主義に乗っている。演劇はそれには乗らない、手間ひまかけて会員一人ひとりの会にしていく」と力強く終わられました。また、是非お会いしたいです。
▼制作の白川さんのお話は、私が今まで事前学習会に参加した中で一番心にのこる内容でした。(まだ、3回程度ですが…)フレディを観るのがワクワクと楽しくなるのはもちろんですが、言葉の一言ひとことがジーンときました。たとえば、“芝居は現在を映す鏡”“大事にしたいのは幕開けの瞬間”“舞台と客席の一体感が大切”…など。
 東北の演鑑の話や、また徳島阿南の年内解散のことを聞き、あらためて運サ活動の大切さ、この人とのつながりの大事さをより素敵に感じることができました。鑑賞会と会員は両輪という意味が分かりました。いまの時代に連帯がkeyワードとも言われ、演劇を観られることの幸せを感じながら、また89歳の運サ担当の実行されている会員増強の行動に自分自身のことを反省したしだいです。参加できて良かったです。
▼「フレディ」の作品の裏話から制作者の想いを知り、観客を大切にされている劇団だということを感じました。
 徳島の鑑賞会の閉鎖のお話は、ある意味ここひこね演劇鑑賞会にも無関係とはいえず、やはり会員一人ひとりが人まかせではなく、心の片隅におくだけで何かの縁で仲間が増えると思うので、絆という大げさなものでなくていいと思うので人のつながりを大切にしていこうと改めて感じました。
▼いろいろな方面からのお話でどれも興味深く聞かせていただきました。観客と舞台がぶつかり合う瞬間の「幕引き」が一番大事、というお話、心に残りました。また、東北の方たちが大変な状況の中、演鑑を続けるというお話、感動しました。ちょっとした裏話、舞台装置の変化等も楽しみたいと思います。
▼多岐に渡って内容のあるいい話が聞けてよかった。テアトル・エコーの事をほとんど知らなかったのに、俳優さんのひたむきな努力がリアルに浮んできて魅力を感じて大変共感を覚えました。四国の阿南の話は、我が身みを置きかえて活動の棚卸をするよい機会にしたいと思います。ありがとうございました。

フレディ 劇団「テアトルエコー」 運営サークルを終えて

今回の作品は、若手劇団員が群馬県にあるサーカス村に合宿して猛特訓で技を獲得されたということや、例会当日は開演前からロビーや会場入口で一輪車やジャグリング等をやって観客をサーカス劇場へいざなうということを聞いて、サスペンス&コメディのお芝居 プラス サーカスで、「2倍楽しめる例会」だということを宣伝文句にして取り組みました。
また、事前学習会では劇団制作部長の白川さんから、全国の劇団が力を合わせて、被災した東北演鑑を励ますため、臨時的な体制で公演を行った感動的な経験などもお聞きし、参加者一同が例会への期待を一層高めました。
ただ、前例会との期間が短く、会報が例会当日しか配布できない事情があって、全会員に例会に対する期待を持っていただく内容をお知らせできなかったことが残念でした。
また、期間中に冬期代表者会議や全国活動交流会等があった関係で、第3回運サ会議と第4回運サ会議の間が1ヶ月も空いて、「みんなで頑張ろう!」というような運サ活動の盛り上がりが作れなかったことも残念なことでした。
そのような中でも、運営サークルで11名、運サ以外のサークルで8名、合わせて19名の方が入会され、前例会より5名多く、今年最高の会員数
(616名)で迎えられたことは喜びでした。

【運サ活動のいくつかの改善点】

@ 席詰めの影アナが聞こえにくい、聞いていない人が多い等から、指示より先に動き出す人があるという点を改善するために、席詰め時のアナウンスを舞台袖(下)で行うことによって、会場での席詰め指示担当者とのタイミングを取りやすくしました。そして、「ベルが鳴り終わったら席詰めを開始してください」というように変更しました。その結果、席詰めが分かりやすくなりました。

A 「ケータイ電話の電源を切ってからホールにお入りください。開演前も休憩時も、ホール内ではメールも電話も使用しないでください。」ということを徹底するために、プラカード担当者もホール内よりロビーでの呼びかけの方を多くし、ドア係も「電源をお切りください」のカードを持って、さらに一声かける、というようにしました。その結果、ホール内でケータイを使用している人はほとんどなくなりました。しかし残念ながら、今回も途中で着信音が1回聞こえたとう報告がありました。

B 影アナ担当者を決めるとき、過去に経験した方から、「影アナ担当者は休憩時や終演時、幕が降りる少し前にホールを出て舞台裏に行かなくてはならないので、お芝居を集中して観られない」という声が出され、最もなことだと話し合いました。そこで、影アナ担当者は事前鑑賞をした人の中から決めるのがいいということになりました。また、影アナでなくても、舞台下でアナウンスすることにしたら、その点が多少は改善されるのではないでしょうか?

【今後の改善点】
「シール・手帳忘れ」の担当をしてくださった方から、「1冊のノートに順番に名前や住所等の必要事項を書いていただくのは時間がかかり、列を作って待っていただかねばならないので、ノートではなく、一人ひとりが記入する用紙をあらかじめ用意しておいたらどうか?」というご意見をいただきました。幹事会でも検討して、次回からは記入用紙を準備することになりました。

(すみれ班 河瀬 洋子)

「フレディ」の主役・フレディ役
 
「安原義人さん」にインタビュー!! 

 ひこね演劇鑑賞会初めての後援・劇団テアトル・エコーの看板俳優の一人
 安原さん
 声優としても活躍中で「声」にもしびれながら・・・
 インタビューに答えていただきました。
 

◇「フレディ」の観どころは?
ミステリーの面白さ、そしてサーカス芸を観て欲しいです。サーカスの練習にサーカス団に何日間か行き、水準も上がってきていると思います。
ミステリーは好きなんです。喜劇は、嘘の上に嘘をついて主人公がだんだん心理的に追い込まれていくところが好きです。「フレディ」はそれがいつもと違う追い込まれ方をする、殺人とかが絡んでくるところは普通の喜劇にはありませんからね。
フランスの喜劇なんかは主人公がどんどん追い込まれてパニックになるんです。今回はそこに殺人が絡んでくるので、まじなところを出しておいたほうがいいなと、両方使えるおもしろさかな、そういうのが出ているかどうかわからないですけれども、ハラハラさせながらお笑いをいれていくというところが今回の観どころでしょうか。
 サーカスは、アウトロー的な特殊な世界で友情、血のつながりなど… 最後はしんみりとしますが、犯人捜しをしたり、サーカスを楽しんでください。

◇どうして「役者」に?
子どもの頃から、勉強せずにテレビや映画ばかり見ていて、演じることが好きでこの道に来るしかなかったんだろうなと思っています。
プロになろうかなと決めたのは、内田吐夢の映画「飢餓海峡」の三國連太郎を観たときにちゃんとした商売なんだなっと。これいいなチャラチャラしたもんじゃないんだと思って、でも結局チャラチャラしていますが……。三国さんのジャンルにはいけませんでしたけど。

【テアトル・エコーに入られたきっかけは?】
兵庫県出身で、高校出て18歳で東京にでてきて劇団青俳養成所に入って一年、もう一年したら劇団に入れてやると言われました。青俳はテーマ性がしっかりしているんです。その時テアトル・エコーの「日本人のへそ」というのを観たんですよ。こっちの軽いほうが自分に合っているかなと、喜劇専門のテアトル・エコーに19歳で入り40年以上経っています。しゃべくりの劇団で、セリフは早いかもしれません。洋画ファンの延長線上でやっています。翻訳がいいと日本の芝居にない快感を感じます。日本の芝居だと存在感とか生活感だとか求められるから難しいのかもしれない。外国の芝居だと外国人だからというところで飛べるので好きですね。

◇役者をされて楽しかったこと、つらかったことは?
つらい…?逃げだそうと思ったことがないんですよ、だから他の仕事をしたいと思ったこともないし、だいたいできませんしね。つらいなと思うことはないんですよね。
最近役に入ることで自分から逃げられるような気持がだんだん強くなっていて、自分に対して自分のダメなところとかいろんなことが分かってきて、そういうときに役をやることによって自分から逃げるという感覚があって、またこの職業に対する違う面白さが出てきましたね。今までただふざけていたところがあったので、もうちょっと役に入る感覚は必要だなと思い始めているんです。

【声の仕事(声優)も数多くされていますが、舞台に立つこととの違いがありますか?】
一番大きな違いは、セリフを覚えること。声の仕事はセリフを覚えてられませんからね、稽古もなんにもないですから、絵をみながら台本を見ながらやっているんで。舞台の仕事はどうしてもセリフを覚えるということで80%決まっちゃう、ただ覚えてしゃべるという事じゃなくてセリフを体に入れていくという感覚。そこで80%決まっちゃうんという気がするんですよね。声の仕事はまったくそれがいらないから全く違う職業と言えるでしょう。

【舞台で大失敗した経験は?】
なくはないですよ、気が付いたらセリフを飛ばしていたとか、自分ではぜんぜんわかってないんですけど、相手が困っていたというのはありますね。人の出番をなくしたり、ぼくのセリフで部屋に人が入ってくるシーンがあったんです。そこの部分を飛ばしたもんで、その人が入ってこれなくなっちゃって、そしたら急にベランダから「偶然そこで会いまして」て言いながら入って来たんですよ。何十階というビルの上のほうの部屋だったので、「あんたスーパーマンか」て言ったことがあるんです。その時はまだ若かったから背中になにかいやな汗がつたわってきて、これはさすがに故郷に帰るしかないと思いました。なんとか謝ってす
舞台はしょせん生ものですから、事故とかミスとかなにかあるから、そこが面白さなんですよね。そこをどうやってごまかすのか、その緊張感が舞台の面白さなので、完璧ということは絶対ないです。

◇全国を回られて?
九州の40数公演からスタートし、やたら笑っていただきノリがいいんですよ。いま奈良と京都を回って九州と反応が全然違うんですよ。今こそ鍛えられているという感じで、みんなで毎日が修行だからと言っているんですよ。旅公演は、何回やっても慣れないですね。会場もお客さんも変わりますので、いい意味でみんな鍛えられています。彦根も「どういうお客様か?」「会場は?」とくに「音」なんですけど、やってみないとわかりませんからね。そういった条件に慣れないところがいいんでしょう。苦しいですけど。もともとテアトル・エコーは小劇場の劇団で、そこから出発しているので千人ぐらいの人が笑ってくれば迫力があってうれしいですよね。また、旅公演の楽しさは、食べて飲むことですね。お酒が好きです。ロビー交流会は、お見合いみたいでお互いに緊張するのであまり得意ではないですね。

【演劇鑑賞会については?】
私たちも生活がかかっているので、ほんとうに皆さんにがんばってもらいたいんですよ。全国的には大変な鑑賞会も多いですからね。そのためにはこちらも面白い作品を持って来なくちゃいけないと思っています。

◇彦根の印象は
彦根は初めてです。お城がいい位置に見えるホテルでして、良い感じのお城だなと思って見ていました。城下町風の通りや、キャッスルロードなどがあっていい雰囲気の街だなあと思いました。
これからも喜劇を観てください。
そして、最後に「皆さん頑張ってください」とやさしく柔和なお顔で話して下さいました。
【ひこね演劇鑑賞会会報係からのインタビュー】


 

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