もどる

第67回例会

2011年10月27日(木)

劇団民藝公演 

 海霧 (うみぎり) 

 原作・・原田康子
 脚本・・小池倫代
 演出・・丹野郁弓
 装置・・勝野英雄
 照明・・前田照夫
 音楽・・池辺晋一郎
 衣裳・・緒方規矩子
 効果・・岩田直行
 

新天地への夢を求めて佐賀から釧路へと渡り、店を開いた平出幸吉と妻さよ。
やがて隆盛を極めた平出商店の悩みの種は、跡取りである男まさりの長女リツと婿の不仲でした。
孫の千鶴が誕生したことでこれからは順風満帆と思えたのも束の間、平出家には次々と荒波が押し寄せます。
過酷な風土の中で明治、大正、昭和を生き、一族を見守り続けたさよの胸には、いつもあの北の海の「深い霧」があったのでした……。

平出幸吉・・伊藤孝雄
さよ・・樫山文枝
リツ・・中地美佐子
ルイ・・桜井明美
千鶴・・中地美佐子
神部修二郎・・みやざこ夏穂
啓三郎・・・齊藤尊史
モンヌカル・・境賢一
浜野たき・・大越弥生
入江雄作・・神 敏将
助川イク・・吉田陽子
シノ・・川岸紀惠
勝六兵衛・・松田史朗
伊沢末治・・神 敏将
ヒサ・・渡辺えりか
ヨシ・・藤巻るも
タミ・・庄司まり
リツ(七歳の頃)・・海津 更 (劇団ひまわり)
千鶴(七歳の頃)・・峰岸花奈 (劇団ひまわり)
医者・・・大場 泉
あんこ(丁稚)たち・・・・・・吉田正朗
 

『海霧』の運営サークルを終えて

 立秋とは名ばかりの毎日酷暑というほどの暑い日が続く、8月27日(土)昼・夜、8月29日(月)昼・夜に、劇団民藝公演の『海霧』(10月27日公演)の運営サークルとしての活動が始まりました。
21サークル91名のメンバーによって、運営することになりました。
今回は、仕事勤めなど忙しいメンバーも参加しやすいようにと、運営サークル会議を各回2日間の昼・夜の4回(計16回)とシール渡し日(3日間)、まとめの会(1日)の会議日、時間を設けることにしました。
しかしながら、参加日と参加人数を知らせて欲しいと、案内文に返信用の葉書を入れたり、電話かFAXで知らせて欲しいとお願いしても、なかなか返事がなく、参加人数も少なく、当日うまく運営できるのか、正直とても不安でした。
 参加したメンバーからは、会員勧誘もがんばって声かけをして種まきをしているとの報告や最近、席詰のアナウンスはあるが、おしゃべりに夢中で聞こえなかったり、空いていても詰めなかったり曖昧なので、舞台から見て席がポツポツ歯抜けになっているのは役者さんに対しても失礼なので、分かりやすくアナウンスの仕方やタイミングを工夫したり、また、前に出て中心を示し、席詰を促してはどうか、新聞に演劇鑑賞会の広告が掲載出来ないものか等の積極的な貴重な発言が出ました。
また、劇団民藝制作の金本和明氏をお迎えして、『海霧』の事前学習会を行ったり、サークルメンバー4名が浜松へ事前下見に行くなどして、例会当日が大変待ち遠しく楽しみになりました。
しかしながら会議への参加が少なく、当日の役割分担がうまくできるのか、お通し(差し入れ)、楽屋のお花はと不安はつきません。
10月に入っても新入会員も増えず、最終目標の610名、いや600名、前回会員数のクリア597名も出来ないのかと思いましたが、運営サークルメンバーや他の会員の種まきとがんばりで、611名の最終目標を達成しました。
また、役割分担も決まり、お通し(差し入れ)は、手作り牛飯、コールスロー、新鮮なプチトマトなどでもてなし、楽屋のお花も一人のメンバーが引き受けてくださったりで、無事当日を迎えることが出来ました。
公演終了後、ロビー交流会に、リツ・千鶴役の中地さん、妹のルイ役の桜井さん、いじわるなお嫁さん役の吉田さん、勝田六兵衛役の松田さんが参加してくださり、活発な意見や質問が出て、舞台の余韻が楽しめました。
 今回の運営サークル活動でいろいろ反省点が見つかったと思います。
まず、@運営サークル会議の回数を多くしてもなかなか参加には結びつかない。
A言葉を略して使っても相手に通じない(演劇鑑賞会→演鑑、運営サークル→運サ、影アナウンス→影アナ等々。)
B役割分担の役割内容の周知ができていない。
C客席が海という設定で、開演してすぐ船が着く場面だったが、劇団制作の上本氏より、席詰め後は前席には誘導しないようにと注意されていたのにもかかわらず、特に運営サークルメンバーは開演ギリギリまで受付などをしていたため徹底できず、前席に着くのが遅れ、開演が少し遅れ、上本氏をやきもきさせてしまったこと。
Dメンバーに電話をした際、「運営サークルって何ですか?何をするのですか?」と聞かれたが、新入会の会員も沢山おり、またこの活動に参加したことがない会員もいるため、「鑑賞会の活動方針や運営サークル活動について」を周知する工夫が必要だと痛感しました。
 毎例会、気持ちよく観劇できるのは、それぞれの運営サークルが一生懸命活動してくださるためであり、今回、いろいろ反省点はあるけれど、無事、活動を終えることができ、ほっとしています。                          (志えん 藤井)

    

『海霧』の運営サークルを担当して

演鑑に入会してからずっと鑑賞するのみの立場でしたが、今回「海霧」の運営担当サークルとして初めて運サ活動に関わりました。
 私は4月に滋賀県に来たのですが、実は地元でも演劇鑑賞会に参加していました。ですが、こちらの運サ活動が地元と全く違うことにとても驚きました。地元ではかなりの数の入会者がいたので、活動も割り当てられた仕事を当日こなすだけというちょっと味気ないものでしたが、こちらの運サは本番の日の前に何度も会議をして緻密な話合いを重ねるということを基盤に活動をしていたので、会員1人1人の手で演劇鑑賞会を作り上げているという印象を受け、とても感動しました。
 当日は影アナをさせて頂きました。本当に貴重な体験をさせて頂いたと思います。
アナウンスをした場所が舞台袖だったので、本番前の劇団の雰囲気や役者さんの緊張感を間近で感じ取ることが出来、心から感激しました。
 会員数が前回を上回ったので、ますますひこね演劇鑑賞会が活気づいていくと思うと、これからの鑑賞会がより一層楽しみになりました。
たくさんの素敵な経験が出来た運サ活動でした。ありがとうございました。
       (FFF  濱村彩香 学生)

    

初めての演劇鑑賞
いままで、本格的なお芝居は初めてでした。幕開きからわくわくどきどきで、みるみる
物語の中に飲み込まれていきました。樫山文枝さんも、“おはなはん”のままで懐かしく見させていただきました。
暗転になるとき、拍手をした方がいいのかなと思ったのですが、タイミングが分からなく出来ませんでした。
12月のフレディでは、大きな拍手をしたいです。
またこの鑑賞会に誘って頂いてありがとございました。生活の楽しみが又一つ増えて、元気になれました。
                     (あやめ2  岡本茂子)

 

「海霧」の平出リツ・千鶴 役
「中地 美佐子さん」にインタビュー

次の劇団民藝の中心的な存在になるであろう 若手女優の中地さん、
とても爽やかに、丁寧に ひこね演劇鑑賞会会報係からの
インタビューに答えてくださいました。

 

◎「海霧」について
 原作が長編で、舞台で演じきれないため、平出幸吉(伊藤孝雄)と平出さよ(樫山文枝)が結婚し、新天地への夢を求めて佐賀から釧路へ渡るところからスタートします。原作者、脚本家、演出家も女性で、 さよ を中心に娘たち、特に女性に焦点をあてた作品です。
一番大切なのは家族や先祖であり、それぞれの生き方と照らし合わせながら家族のドラマを味わって頂けたらいいのであって、この劇は大きな社会問題を取り上げたものでありません。女性は男性に対して受け身でありながらも自主性がありますのでそこを観ていただきたいです。この作品を観て、男性は自分のルーツである母を思い出すとよく言われます。
「海霧」は、女にとっていろいろつらく悲しいことがありますが、「その濃い霧の中で泣きなさい」と さよ は言うように、演出家も “さよ イコール霧”だと言っています。 結構話しの展開が早いので、観客の皆さんに寝る暇がないといわれる作品がですが、リツがいきなり大人になるところは、違和感なく皆さんに受け入れて頂けました。互いに惹かれあっていたリツと雄作が結ばれず、娘の千鶴と伊沢が、互いに2役で最後に結ばれるのは、脚本家のねらいだと思います。

◎ 今回の役を演じた感想について
 リツさんが「俺………だ。」と男言葉を使うのは、単に男になりたいという単純なことではありません。
公平で潔癖なリツさんの役に出会って、イヤな人でも認めるなど、人への見方が変わりました。
リツさんを思うことで、人を見る巾を広げないといけないと影響されました。

◎ 樫山文枝さん、伊藤孝雄さんはについて?
とても信頼しており、お二人とも大好きです。伊藤さんとは、何度か共演しました。樫山さんは再々食事に誘って下さいます。
お二人のうしろ姿でいろいろ勉強できるので、それを実にして恩返しがしたいと思います。

◎ 役者になろうと思ったのは?
 皆でひとつの作品を作り上げる役者になりたいと、小さい頃から思っていました。
多摩美術大学の新聞記事を母が見せてくれて、東京見物のつもりで気楽に受験し入学しました。
演劇を初めて観たのが、民藝の「炎の人―ヴァン・ゴッホの生涯―」で、大変衝撃を受けました。
公演のため全国を旅する仕事に魅かれ、そうそうたる役者がおられる民藝がいいなと思っていましたら、友人から民藝の劇団員募集の記事を見せられ勧められました。今日あるのは母や友人、いろいろな方の後押しをいただいたおかげだと思っています。

◎ 「演劇鑑賞会」について
 運営サークルの皆さんは、いろいろご苦労され準備して、当日、私たちを迎えてくださいますが、幕が開いたときから皆さんの暖か味を感じ、私たちの背中を押してくださる思いがします。
また、前回例会からのクリアは劇団にとって、励みになり大変嬉しいことです。

◎ 彦根についての感想は?
「アンネの日記」、「明石原人」と今回で3回目の彦根です。昨日はのり日だったのでゆっくりしましたが、あいにく彦根城へは行けませんでした。
お散歩するのにとても良いところですね。ゆるキャラのひこにゃんがとてもかわいいですね。


『海霧』の感想(アンケートより)

@すばらしい演技、うれしく鑑賞しました。 (80代女性)
@民藝のお芝居は、いつ観てもよいです。久しぶりに感動いたしました。鑑賞会に入ってとても嬉しいです。(70代女性)
@とてもすばらしかった。期待していたけれど、その通りだった。舞台にくぎづけになった。(60代女性)
@最高の演劇を見せていただきました。久しぶりに見ごたえのある演劇に感激しました。樫山さんのよく通る声、時代のうつりかわりを、りつさんの生きざまを通して見事に表現されていて、本当に演技力に感心させられました。又、こういう深みのある例会を楽しみにしています。 (60代女性)
@女性三代はしっかりしていて、男は駄目男ばかりで残念なこと。樫山さんは若い奥さんから80代のおばあちゃん役を見事にこなされて、感激しました。最後のおばあちゃんは、とてもまぶしく素敵でした。  (60代男性)
@樫山 文枝さんの演技に胸を打たれました。  (50代女性)
@さすが樫山さんの演技力がこのお芝居をすばらしい作品に仕上げていた。りつ(千鶴)役の中地さんも熱演で大変良かった。また、客席を舞台に見立てた演出はおもしろかった。観劇中の観客のおしゃべりは、耳障りであった。  (50代女性)
@大変良かった。こういう演劇を増やして欲しい。(30代女性)
@セリフが聞き取りにくかった。(伊藤 孝雄) (70代女性)
@音声が良くなかった。聞き取りにくかった。(70代女性)
@音声が聞き取りにくくて分かりづらかった。 (70代女性)
@ちょっと台詞の言い回しが早くて(方言も混じり)聞き取りにくい時があった。(60代女性)
 


もどる