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第65回例会

2011年4月19日(火)

文学座公演 

 花咲くチェリー 


<スタッフ>
作◆ロバート・ボルト
訳◆坂口玲子
演出◆坂口芳貞

装置◆乘峯雅寛
照明◆金 英秀
音楽◆加藤健一
音響効果◆望月 勲
舞台監督◆北 則昭
演出補◆上村聡史
制作◆白田 聡
票券◆松田みず穂

<キャスト>
ジム・チェリー …… 渡辺 徹 
イゾベル・チェリー …… 名越志保 
トム …… 植田真介 
ジュディ …… 佐藤麻衣子 
ギルバート・グラース …… 大原康裕 
ディヴィッド・ボウマン …… 石川 武 
キャロル …… 吉野実紗 


文学座の財産演目であった本作は、1965年に初演されました。以来67年、74年、80年と再演を重ね、主人公ジム・チェリーは、北村和夫の当たり役となりました。過去の劇評にも「チェリー像を道化師のように、ある時は哀れにある時はこっけいに演じ切った北村の功績が第一である。」とあるほどでした。今回はこのチェリー役に渡辺徹が挑みます。コミカルな演技からシリアスなものまで幅広く演じることの出来る彼ならではのチェリーに期待は高まります。坂口玲子さんによる新たな翻訳を得、「エスペラント〜教師たちの修学旅行の夜〜」での絶妙な演出も記憶に新しい坂口芳貞による新演出にも注目です。また、チェリーと共に重要な役である、妻イゾベルには名越志保。息子トムは植田真介、娘ジュディは佐藤麻衣子ら若手が配役されました。家族以外の登場人物たちも魅力的な本作。ジムと同じ保険会社に勤めるグラースには大原康裕、ジムが出した注文まがいの手紙を受け、リンゴの苗木を販売に来るボウマンに石川武。ジュディのクラスメイトで明るく活発、おまけに男性に対してかなり積極的な性格のキャロルに吉野実紗。29年ぶりに文学座で再演される本作は、まったく新しい息吹と共に甦ります。

■プロフィール
<作/ロバート・ボルト Robert Bolt(1924-1995)>
グラマースクールを出たあと、17歳で保険会社に就職。43年から46年まで入隊、マンチェスター大学に入り、49年歴史科を卒業。 以後、ラジオドラマの執筆をするが、「花咲くチェリー」の成功で教職を退き劇作家として独立する。 「花咲くチェリー」は57年に初演され、爆発的な人気を呼んだ。 その後の作品には、映画化されて数々のアカデミー賞を獲得した「すべての季節の人」(邦題「わが命つきるとも」)など多数。 その他シナリオ作家としても有名で、「ドクトル・ジバゴ」(オスカーを獲得)や、「アラビアのロレンス」「ライアンの娘」など、 現在でも馴染みの深い作品を多く手がけている。 

<演出/坂口芳貞 さかぐちよしさだ>
文学座演技部所属。演出家、声優としても活躍する。 近年では『噂のチャーリー』『思い出のブライトンビーチ』『エスペラント〜教師たちの修学旅行の夜〜』といった翻訳物から 若手書き下ろし作品まで幅広く演出しており、その演出手腕には定評がある。 桜美林大学総合文化学群教授として演劇教育にも力を注いでいる。 2004年地人会公演の『花咲くチェリー』(北村和夫がチェリーを演じた最後のバージョン。イゾベルは八千草薫)も演出。 

<主演/渡辺 徹>
舞台出演より先にTVでの人気が先行し、そのままトップスター街道を突き進んだという、現在も 劇団に在籍している俳優の中では異色のタイプ。昭和55年、文学座付属演劇研究所へ第20 期として入所。翌56年、今や伝説ともなった刑事ドラマ『太陽にほえろ!』(NTV)でのラガー刑 事役で人気が爆発。その後57年に発売されたシングルレコード『約束』が空前の大ヒットとなり、 押しも押されぬトップスターとなる。初舞台は昭和59年の『マリウス』(文学座)。他の出演作品 には『夢夢しい女たち』『息子ですこんにちは』『人生と呼べる人生』『女の一生』『ドン・ジュアン』 (文学座)、『夕鶴』(銀座セゾン劇場)、『いのち』『功名が辻』(松竹)といった作品に出演してい る。70周年記念公演の『長崎ぶらぶら節』、昨年末の『口紅』での好演は記憶に新しい。TVで 彼の姿を見ない日はないといったぐらい、多数のバラエティ番組等に出演しているにもかかわら ず、これだけの舞台に出演しているのも驚きである。今回演じるチェリーは北村和夫の当たり役 だったが、渡辺流のチェリーに期待が膨らむ。 


「花咲くチェリー」運営サークルを終えて

 演鑑歴は長いのですが、今回初めて運営サークル(運サ)活動に最初から関わりました。
何回か、当日の「プレゼント係」や「陰アナ」などスポット的な役割をさせてもらっただけで、右も左もわからないまま、不安を抱きながら運サがスタートしました。
 今年の2月は、大変寒く会議も値打ちがありましたが、運サのメンバーの方々は、ベテランの方が多く、何度も色んなことを経験されており大変心強く感じました。
何回かお顔を合わせることにより、少しずつ打ち解けられ、慣れぬ作業をしながらまたお菓子を頂きながらの楽しいひと時でした。
また運サの会議は同じような方々の参加で、「シール渡し」は、大丈夫かな?とも心配をしていましたが、当日には13サークル15人と幹事の方々が応援に5人来て下さりスムースに対応ができました。
搬入時も、「重いものを運ぶので男性5〜6人の参加を」との連絡があり覚悟をして多くの方々に来ていただきましたが、搬入指示も良くコンパクトにまとめてあったので、あっという間に作業を終えることができました。
目標は、「会員拡大」に尽きるのですが、当初どんどん会員を増やせませんでしたが前回のアプローズの運サ担当の方々の努力のおかげもあり例会は、586人で迎えられることになりました。良かった! 前回クリアです!!
 今回久しぶりのロビー交流会では、50人参加され限られた時間でしたが、舞台での興奮冷めやらず楽しいひと時でした。それにしてもプレゼントの「ひこにゃん」の人気は本物でした。
 全般を振り返って、細かな点で、次回に向け色々反省点はありましたが、手作りのお花のセッティングやお通しのおいしそうなサバ寿司、いなりにサラダ巻きなど好評で皆さんに支えられなんとか運営サークル活動を終えることができました。ご参加くださった皆さんありがとうございました。
 最後に東日本大震災により甚大な被害を受けられ謹んでお見舞い申し上げますとともに、東日本の演劇鑑賞会の復興を願いつつロビーで支援金をお寄せいただいた皆様にもお礼申し上げます。本当に温かいお気持ちも含め、ありがとうございました。

(運サ担当幹事 城念 久子)




「花咲くチェリー」を鑑賞して

私は、ひこね演劇鑑賞会に入会させていただいて二年目という短い会員です。
今まで直接演劇を鑑賞することはなく、舞台で一場面か、二場面の限られた設営の中でストーリーが展開されていくことの不思議さと素晴らしさを知りました。
映画やテレビでの放映に慣れている私は、はじめ違和感さえ持ちました。役者(俳優)さんを目の前で拝見する迫力や表現私は、ひこね演劇鑑賞会に入会させていただいて二年目という短い会員です。
今まで直接演劇を鑑賞することはなく、舞台で一場面か、二場面の限られた設営の中でストーリーが展開されていくことの不思議さと素晴らしさを知りました。
映画やテレビでの放映に慣れている私は、はじめ違和感さえ持ちました。役者(俳優)さんを目の前で拝見する迫力や表現、声の大きさにも驚きを感じました。
 今回文学座の「花咲くチェリー」の渡辺さんに関しては、決してイケメンとは言えませんが、全身全霊で熱演される姿に感動し、他の俳優(女優)さんたちも、すばらしい演技をされ圧倒される思いでした。舞台では、それぞれの出演者がとても大きく見える不思議も実感いたしました。
 人間(男性)の儚い夢を追い求める姿、夢と現実とのギャップに気づかない夫、ドラマの中では、夢は夢で終わってしまったけれど、その間、笑いをさそわれながらも悲哀に満ちた筋書きの中に、夫婦の感情の交錯、考えの違い、物事を冷静に批判的にみる妻との心の行き違い、ダメ夫にがっかりしながらもどこかで肯定し支えようとする妻のやり取りを私は、自分自身の立場に置き変えて夫婦のあり方を考えさせられる思いでもありました。
笑い事ではすまされない日々の生活を問われていることに気づきながら…。
 また、劇中の親子の関係もあまり家族愛に満ちたものでなく、あたたかさが感じられないのは、原作者が外国人でお国柄の違いもあり37年前より公演され続け500回を超えて今も支持されていることは、ちょうど今の日本の家族関係に似ていて、希薄感や心のつながりの無さも表現されているのが人々の心に沁み、現実味をおびていて、笑いの中に悲しさを覚えさせられる理由かもしれないと痛感しました。
  この日は、運サ担当で、スタッフの皆さんのご努力ご協力の素晴らしい姿も拝見し、実りのある日となりました。
 上演後のロビーでの交流会に参加し、出演者の皆さんの温かいトークや対談も楽しく、舞台上で拝見した役者さんたちの大きな姿とは対称的に人間味あふれるやさしい温かさを感じることができ大変幸せに思いました。ロビーでは、観客と出演者が一体となれたような嬉しい体験でした。スタッフのご尽力とお世話下さいました皆様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。                  (あづっち 奥田)




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