第64回例会
2011年2月16日(水)
ピュアーマリー公演 ミュージカル アプローズ
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1950年アカデミー受賞の名作映画「イヴの総て」のミュージカル舞台化。
一曲一曲が劇全体の構成と流れの上で重要な要素として緻密な働きをし、ミュージカルとしての完成度が高くドラマティックなストーリー展開で、1970年トニー賞主要5部門を受賞。
ミュージカルにする上で加えられた、ジプシーと呼ばれる、まだ芽のでない若い舞台俳優たちの訪れる「ジョー・アレン亭」の場面は、彼らの悲哀と、「アプローズ(喝采)」を切望し、生きる糧とする姿が、賑やかなダンスナンバーで語られ、この作品の象徴的シーン。
タイトルナンバーをアンサンブルのボニーに歌わせる趣向も斬新で、実はアンサンブルが主役とも思える見せ場、現代日本の若手舞台俳優たちにはこの精神を是非感じて欲しいところだ。
映画がイヴに焦点を当てているのに対し、舞台はマーゴに焦点をあてており、観客は、最後にマーゴの悟る「もっと大切なこと」そして「真実の愛」に安堵し、「アプローズ」のナンバーに酔いしれて家路に着くことだろう。近代にはない名作である。
【あらすじ】
舞台はNYのトニー賞授賞式会場。
アメリカ演劇界最高の栄誉であるトニー賞が、新進女優のイヴ・ハリントンに渡されようとしている。
プレゼンターである大女優マーゴ・チャニング(前田美波里)は、イヴ(飯野めぐみ)が初めて彼女の前に現れた1年前を回想する。
楽屋にやってきて、かわいそうな身の上話をした純情そうな田舎娘イヴを付き人代わりに使ってやった。
甲斐甲斐しく働きマーゴにとって欠かせぬ存在となったイヴだったが、彼女の目的はそんなことではなかった。
プロデューサーのハワード(倉石功)に取り入りマーゴの代役になり、マーゴの恋人ビル(石原慎一)といちゃつく。
怒りと嫉妬でマーゴは周囲に当たり散らし荒れる。
イヴはそんな横暴なマーゴに反省を促すためと、劇作家バズ(越智則英)の妻カレン(平田朝音)を言いくるめ、マーゴをバズの別荘に足止めさせて舞台に穴をあけさせる。
イヴはその夜、マーゴの代わりに舞台に立ち大喝采を受ける。
一夜にしてスターの座を射止めたイヴの野望はさらに留まることを知らない……。
みどころ
1950年アカデミー賞受賞の名作映画「イヴの総て」のミュージカル舞台化。
1970年トニー賞最優秀作品賞をはじめ主要5部門を受賞しました。
日本では1972年に淡路吹雪、雪村いずみで初演。その後前田美波里(マーゴ役)でも再演しています。
古典でありながらも現代の感性を生かし、フレッシュな舞台にうまれかわります。