もどる

第62回例会

2010年10月13日(水)

劇団青年座公演 

 あおげばとおとし

スタッフ

■作/中島淳彦  
■演出/黒岩 亮
■出演/那須佐代子・大家仁・津田真澄・松熊つる松・小林さやか
矢崎文也・安藤瞳・桜木信介・益富信孝・小豆畑雅一
藤夏子・嶋崎伸夫・ひがし由貴・黒崎照


【ものがたり】

昭和40年代の後半
宮崎県は日南市の小学校の職員室

空は青く、山は高く、鳥は飛んで、先生は先生で、生徒は生徒だった。
それがあたりまえだと思っていた、あの頃・・・
校内暴力、学級崩壊、登校拒否…まだそんな言葉は知らなかった。
だけど、ゆっくりと、確実に、何かが歪み始めていた…
♪仰げば尊し 我が師の恩・・・

人気劇作家中島淳彦氏が『夫婦レコード』以来、3年ぶりに青年座に書き下ろす、
苦味のきいた大人の喜劇です。




『あおげばとうとし』は、人気作家中島敦彦が自身の小学校の時の思い出の断片をかき集め、つなぎ合わせ、浮かび上がったエキスを創出し『夫婦(めおと)レコード』から3年ぶりに青年座に書き下ろしました。

ひこね演劇鑑賞会では中島敦彦作品は、『ゆれる車の音』『見下ろしてごらん夜の町を』を観ています。
 
青年座は、創立から50年以上経った今でも創作劇にこだわり、日本の現実を演劇の中に根を下ろして行きたいと願っています。この作品は、まさに青年座の精神から生まれた作品といえます。

空は青く,山は高く、鳥は飛んで、          
   先生は先生で、生徒は生徒だった。
      それがあたりまえだと思っていた、あの頃…。
            だけど、ゆっくりと、確実に、何かが歪み始めていた…。

舞台は、大阪で万博があった2年後の昭和47年 卒業式を間近に控えた3月、宮城県日南市油津にある田舎の小学校の職員室。
5年生の児童が、水を入れたコンドームを新任の女性教師に投げつけた!ここから物語は始まります。

この児童は友だちを自分の親が経営をするラブホテルに連れていくなど次から次に問題を引き起こします。
愛情をもってやさしく接するほうが必要という教師、もっと厳しく指導すべきだという教師、学校の対面ばかり気にする教師、全くの無関心を装う教師…と様々な意見が飛び交いますが生徒は登場しません。
先生、生徒の親、婦人警官が繰り広げる人間模様の舞台です。

「こげんな呑気な田舎でも、時代の波は押し寄せます。」
時代の波しぶきと嬉々として戯れるのはいつの世も子供たち。
そんな子供たちに振り回されながらも先生たちは教育者として、人間としてぶつかっていくのです。

『あおげばとうとし』から
心に残るあなたの小学校時代の思い出は?


■給食のエピソード    
「レーズンが嫌いで、レーズンだけを残していたのに、先生に見つかって、残していたレーズンを無理やり口に入れられた。それ以来、レーズンが大嫌いだ」
「コッペパンだけは残してもよかった。嫌いなものはコッペパンの中に詰め込んで持って帰った。皮だらけの鶏肉をいっぱい詰め込んだ記憶が鮮明に残っています。」
「肉が嫌いな男の子が、“あ、落ちた!”と言って、落としては持って帰っていた」
「脱脂粉乳がいやだった。拒否していたら先生に無理やり飲まされて。飲めるようになった」



■いたずらエピソード
「スカートめくり」
「中学の時、スカートを頭の上でくくった」
「コンドーム(劇中にも出でくるが)を自販機で買って水を入れた。いくらでも入る!?」
「いろんなあだなをつけたよね。つけなかった? インドキャベツとか。」
「家が商売をしていて、まめやおいもがつるしてあった。私の顔を見ると“まめ食ってプー、いも食ってプー”と言われてすごく恥ずかしかった」(と、顔を両手でかくして、真っ赤になって話している姿がかわいい!!)

■こんなこと、あんなこと
「放課後、クラスのお手伝いをしたら こっそり飴玉を先生がくれた。カンロ飴だったかな。特別な気分でうれしかった」
「肝油が嫌いだった。今でもいくらを見ると肝油を思い出して、いくらが食べられない」
「肝油の箱が貯金箱になっていて、その箱が強く
印象に残っている」
  「ろうかに立たされた」
  「バケツを持たされた」
  「敷居に座らされた」
  「授業中話していたり、ゴミ捨てに行かなくて “歯を食いしばれ!”と言われ、その後平手うちされた! でも、普段はとてもやさしい先生で褒められて頭をなでられたのがとってもうれしかった。大好きな先生」



■心に残るエピソード
「当時(今から40年前)父親もいなくて母と二人暮らしだった私は何事にも自信がなく、不登校気味の時期もあった。おとなしくて人前で全く話せず、授業中手もなかなか上がらない私を、小六の担任の先生が“社会に出てお前どうするんだ”とみんなの前でよく叱った。こっそり校舎の陰で泣いていることも。そんな私を授業中、たとえ話によく出してくれて、みんなの笑い者ではなく、みんなの中に存在を植え付けてくれた。卒業前の演劇の出演者に選んでくれたことも大きな自信になった。そしてむかえた卒業式。たった一人の母が体調を崩し来てもらえなくてガッカリしている私に“僕が親がわりだ”と力強く言ってくれた先生を忘れない。その後、当時が信じられないくらいにたくましい社会人なってしまった?!

■私の小学生時代をふりかえると
私の小学校は猪子山の近くで何かにつけて山とのつき合いが多くあります。
男子は罰として山まで走らされたり、山でいろんな事をして遊んだり、学校は木造校舎で雨天体操場があって、どたばた
遊びまわっていました。
私は地味なほうでしたから先生にあま
 り好かれなかったと思います。ただ6年
生の時に絵が入選してみんなから、おど
ろかれた事がありました。でも熱心な先生
でして、いろんなこと残してできるまで帰れなかったことがありました。



■小学校の頃のいたずらと言えば
教室の入り口に黒板消しをはさんで先生が入って来たとき頭にあたるように仕掛けたこと。
ピアノのふたの中側にゴムでできたイモリやヘビのオモチャを入れてびっくりさせた。
いずれも早熟のヤンチャ坊主がリーダーで若い可愛い先生がターゲットでした。

引き続きいろいろな学校時代のエピソードを集めています。事務局までおよせください。
ぜひご協力をお願いします。(会報係りより)


「あおげばとおとし」例会の運営サークルに参加して


【陵水クラブ代表】
昨年入会(ホンク!例会時に)した時はサークルの一人として参加しましたが、今年はサークルを根分けして、代表者になり初めて運営サークルに参加しました。昨年とは違い、責任や重みを感じることが出来、会員を増やすのは大変だけど、こんなにすばらしい会と出合えたのだからがんばって声をかけていこうと思いしまた。
今回の運営サークルに参加するまで、多くのサークルがたずさわってプレゼントの話し合いや花を活けたり、当日は会員に渡すチラシの折り込みをしたりと色々な作業があって例会を迎えることを自分は知りませんでした。でも大変ですが楽しかったです。
 例会当日は入会案内の担当の場に居たので、来られる会員さんの中に知った人も何人もおられ、新たな発見ができました。
 交流会では岡部先生役の那須佐代子さんの隣の席にあたりとってもラッキーでした。劇団の俳優さん達と親しくお話でき感激しています。
 

「あおげばとおとし」例会担当を終えて

 今回の運サでは前例会クリアとはいかず、最後の最後までお誘いしようと話し合ったのですが、数字の壁は越えることができませんでした。しかし担当として参加するなかでとてもよい経験、勉強をさせていただきました。そして自分たちがこの演鑑をもっともっと活用出来るということがわかったのです。
季節感溢れる野山や庭の秋草を楽屋に活けたのですが、劇団の方が大変喜んでくださり疲れも吹っ飛んだ思いでした。運営サークルに参加して、劇団の方に喜んでいただきうれしかったです。確かに何度も会議に参加して、意見もなかなかまとまらず困ったこともありましたが、むしろいろんな意見が出る方が皆の思いも伝わり、連帯感も高まっていくのだと感じました。 “鞄にいつも二通の入会案内を”と常に声かけしている会員さん。今回も新たな会員をむかえました!
最後に劇団の制作の方からこんなお話いただきました。
「今日は舞台中、携帯がならなかったのでみんな集中してお芝居ができました。本当にありがとうございました。」と。何とも切ないことでした。
 近頃は当たり前のことがなかなか通じない場合がありますが、次回も劇団の皆様に喜んでいただけるようにみんなで頑張りましょうね。運サのみなさん、お疲れさまでした。

Ss2_5431.jpg
      








     劇団と運営サークルの対面式
 Ss2_5437.jpg

 

「あおげばとおとし例会」の感想

●生徒も先生も保護者もいろんな人がいて社会。いろんな考え方があって世界。どう折り合いをつけて生きていくのか。まっこつ生きていくのは大変。でもうまくいくとうれしい、それは大人も子どもも一緒でしょう。いろいろぶつかり考えながら生きてゆこう。勇気、元気をいただきました。とてもよかった。面白かったです。
●何といっても暗転が興味深かった。うまく次の場面の準備を観えるようにして。古き良き学校の形。台詞で一つ良かったのは「一人ではさみしい。でも周りに人が居てもさみしいのはもっとさみしい」、心に残りました。
●私のサークルの一組のご夫婦は「久々に良かった」と言っておられました。時間の過ぎるのが早かった。先生の役でそれぞれの味が出ていて、セリフの順序を間違えそうではないかと思うくらいの熱演でした。孫さんが生まれた先生が印象に残っています。良かったです。
●役者さん一人ひとりが個性的で素敵でした。教師も人間として迷ったり苦しんだりしている姿が見られ、しかもプレゼント渡しで一番前の席で観ることができました。
●学校の職員室を思い出します。先生の苦労がわかってきました。「あおげばとうとし」の歌が流れてくると、じ〜んとこみあげてきました。あれで本当に良かったです。入会して初めて搬入に参加しました。大きいトラックにぎっしりと荷物があり、自分が手にとったものが舞台にセットされ、うれしく思いました。また、たくさんの方と運んで話せました。これからも搬入は行きたいなと感じました。
●先生は教育者である。聖職という意識、プライドを持って欲しい。心情として山下先生に同感である。吉田先生は教育者としては少し考えて欲しいところだ。モンスターペアレント(今流行りの)に対しては奮然として戦って欲しい。時と場合によっては、スパルタ教育も必要だと思う。子どもたちだって真摯な態度は理解するものだ、まじめな思いやりの気持ちはどの世代にも伝わるものだと思う。
●時代背景が綿密に演出されていて職員室の雰囲気に臨場感があったのが大変印象てきだった。先生方、親、すべての出演者の個性が、セリフや役柄からはっきり理解できて、リアリティーがあった。ただ、後ろ向きになった時セリフが聞き取りにくかった点は残念。
【これ以外にも多くの感想を寄せて頂いております。ありがとうございます】


もどる