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第61回例会

2010年7月6日(火)

青年劇場公演 

 シャッター通り商店街

高橋正圀=作 松波喬介=演出 福島明夫=製作 

美術=石井強司 照明=横田元一郎 音響効果=石井隆 選曲=悳俊彦

衣裳=宮岡増枝 宣伝美術=コガワ・ミチヒロ 演出助手=板倉哲

製作助手=大屋寿朗 製作助手=川田結子 舞台監督=荒宏哉 

スーパー コンビニ 量販店
商店街はその役割を終えたのか…
街の再生に挑むすべての人々に贈る
高橋正圀氏の最新作!

【ものがたり】

ところは関東圏の中都市・花里市。
カレー店を開業しようと、3年ぶりに故郷に戻ってきた辰次(32)は驚いた。街の中心部にある「すずらん通り商店街」は店舗が半減し、シャッター通りと化していたのだ。
「こりゃまずい・・・」。実は恋人の萌が一週間後に来ることになっている。この街の様子を見たら逃げ出し、結婚もパーになるかもしれない・・・。と、早くも逃げ腰の辰次。
しかし、商店街の再興に燃える小母さんたちが久々にやってきた若者をみすみす逃がすはずがない。「すずらん通り再生のエース帰還!」と祭り上げ、あれよあれよという間に街の存続をかけたドタバタに巻き込まれていく・・・。 

「シャッター通り」をモチーフにして夢を語れるか? 
それが今回の課題である。


小泉・竹中の規制緩和政策で日本中の町々が一気にシャッター通りになった。
更に、夕張に象徴される財政破綻寸前の市町村が、全国で五分の一に上っているという驚くべき現実は、かかって政治の問題である。
それを横目で見てるのか見てもいないのか、急ぐ必要など更々ない憲法改悪にかまけている政府は、地方の疲弊やシャッター通りを助長していると言われても仕方ないだろう。

しかし、心ある商店街の有志は、政治なんかアテにせず、あちこちで地方の特徴を活かした個性的な再生策を繰り広げている。そんな夢と元気を失わない町や人々に出会うと正直ホッとする。

この物語は、「昔は良かった」と回顧する小父さんは置いといて、「まず自分たちが住みやすい町作りをしよう」と立ち上がる小母さんと若者たちが主役である。
学校や近隣の農家を巻き込んだり、「量販店にはないものを」を合言葉に「一店一品運動」を繰り広げたり、商店街の人々の泣き笑いをエールを込めて描きながら、人は本来どんな町に住めれば幸せなのだろうかを共に考えたいと思います。


高橋正圀
たかはし・まさくに

山形県米沢市出身。シナリオ作家協会・シナリオ研究所修了。山田洋次氏に師事。映画・テレビの脚本を数多く執筆し、高い評価を得ている。

<青年劇場での上演作品>
「遺産らぷそでぃ」
「キッスだけでいいわ」
「愛が聞こえます」
「銀色の狂騒曲」
「菜の花らぷそでぃ」
「キジムナー・キジムナー」
「ナース・コール」

人間らしいつながりを求める人々への応援歌

全国各地を巡演していると、駅前の閑散とした風景、シャッターが閉まり静まりかえった光景をよく目にします。地方都市だけでなく、首都圏の一見華やいでいるような商店街でも、一つ一つの店舗をよく見るとフランチャイズのチェーン店が多くを占めているように思います。

そんな中、何とかして住民の顔が見えるような町をつくろうとしている人々に出会いました。“町おこし”と一口に言っても簡単なことではありません。「とりあえず安く早く商品が揃えばいい、という生活スタイルに変わりつつある今、商店の人たちもどこにどう向かって行けばいいのか戸惑っている。」と、ある商店主は語ります。24時間開店の大型スーパーやコンビニに対抗するには「ネット販売の方が効率がいいし、経費も安い」と、息子の代になって方向転換していく店もある…と。さらに高齢化による後継者問題や、お嫁さん探しも深刻です。それでも「商店の外に出れば、新しいアイデアを持ち込む地域の人々や若者がいる。本来の町の役割とは何なのか、を考えあうことで新たな出発はできる。」と希望を語ります。次々と大規模店舗を進出させ、利益のみを追求する大資本大企業とは対照的に、人間らしいつながりを地域の中で実現させたいと日々奔走する人々を励ます舞台が作りたいと、この作品が生まれました。

作者の高橋正圀さんとのコンビは今回で8作目となります。高橋さんとは「食と農」、「ひきこもり」などをはじめ、ある社会現象をモチーフに、その問題の本質に鋭く迫る“社会派喜劇”を一緒に生み出してきました。高橋作品の大きな魅力の一つは、その背景にある政治的な問題を声高に描くのではなく、何とか現状を打開しようと智恵をしぼり、懸命に生き抜く市井の人々が常に主人公であることです。彼らの奮闘の前に大きく立ちはだかる現代社会の根深い問題に思いを至らせながら、効率や利便だけでない、人間のありようや生き方を皆様とともに考えあえればと思います。ぜひ多くの方々にご覧いただきたいと思っています。お誘いあわせの上、会場に足をお運びください。お待ちしています。

 青年劇場
「シャッター通り商店街」から始まり 「シャッター通りで頑張っているお店」で終わった……  

運営サークル報告


    事前学習会                搬入風景                サプライズのお茶とお菓子  

前回の「佐賀のがばいばあちゃん」公演の余韻が覚めやらぬ中、第1回目の運サが4月27日に始まりました。
幹事の堀田さんより青年劇場の紹介や作品内容の説明を受け、シャッター化していく商店街の再興に燃えるおばさんパワー溢れる劇と知り、我が町にも隣町にもある現実の商店街が思わず目に浮かび興味津々で運サ活動がスタートしました。
劇団の方との事前学習までに、実際に彦根市内の5つの商店街を歩いてみて、商店主さんの実情や町の現状、そんな中でも頑張っておられる姿を拝見し、私達もなんとか応援したいと言う気持ちが重なり、ストーリーさながらついつい意見を出し合ったりもしました。又、商工会議所の担当のかたにも商店主さんの思いを伝え、現在の取組みの説明を受けるなど事前学習し、過去にこれ程歩き回った事はなく、実りのある活動だったと思います。
 製作部の菅沢真紀さんをお迎えしての事前学習会では、会場を商店街の渡邊薬局さん2階をお借りし、青年劇場の事や劇団員さんの意気込みなどをお聞きし、すでに物語が始まっている! そんな錯覚さえ覚えました。
 当日の搬入は、過去最短の30分程で終了し、その後劇団の方達より私達にお茶とお菓子で慰労して下さるというサプライズもあり、搬入、上演、交流会まであっと言う間の有意義な一日を終えました。
 交流会も商店街の中、頑張っておられるお店で…珍味珍酒を味わいながら… あくまで「シャッター通り商店街」にこだわった運サ活動だったと思います。楽屋を彩る手作りの可憐な花篭、おもてなしのお惣菜など大変喜んで頂けたようで、後日心のこもったお礼のFAXを頂きました。
 私達は、目標の650名には及びませんでしたが、一人でも多くの人に 見て頂きたいという熱い思いはとても強く、この思いが次回の目標につながることを願っております。
          ぼてじゃこ、S



    手作りの花かご            受付前の準備                     役者さんとの対面式

◇「シャッター通り商店街」の感想 ◇

★ 感激しました。彦根にもシャッター通りがあります。元気をいただきました。

★ 中々ストーリーに入りこめない演劇もあるが、あっというまに、自然にシャッター通りの世界に入りこめた。お腹の底から笑い心の底からジーンと感じられる良い演劇だった。

★ 凝った舞台でたいへんだったですね、良かったです。商店の雰囲気とてもよかった。みんなが集まれるところ、集まって話合える事、仲の良い人たち、商店のよさが出ていましたね。パンフレット見て色々思い浮かべています。役者さん、若い人、おじさん、おばさん、色々あって面白かった。皆さんの長い役者人生、すごいです。がんばってください。サークルの仲間80歳代の人に聞きました。生の舞台見て、次に日思いだして、感動しているんですって。喜んでもらえて私もうれしかったです。

★ どこの市町村でも大きな問題だけに身近なテーマであり、ユーモアあり、楽しい演劇でした。次も楽しみしています。

★ 商店街のおかれている現状が表されてありました。彦根の商店街も頑張って生き残ってほしいです。マイクを使われるとよりよかったと思います。

★ 役者さんのきびきびとした演技、かけあいも素晴らしいと思いました。

★ 出演者皆様が熱演してくださって感動しました。目が手術のため遠くが観づらいものでしたので、一番前に移動しカバーでき、迫力を感じることができました。ありがとうございました。現代の事情がありありと表現されていました。

★ 全国共通の問題をじっくり考えさせる演劇でした。「情」で問題を解決しようとする脚本は、世の中の現実を考えると、少々甘いようにも思えますが、でも「情」って大事ですよね。人間だけにしかない感情ですからね、「君ならどう描く」といわれると、答えは出せないのですが、「情も絡めて、どうすればいいのか、みんなでもっと、もっと真剣に考えよう」との訴えだったように思いました。矢継ぎ早に、いろんな手を打って、情の通う昔ながらの商店街のよさをもう一度見直し、復活させようとの思いが伝わってきました。あんなふうに、みんなが気軽に集まれる地域の集会所「喫茶店」そのものが、消えていっていることが問題ですよね、真空管アンプにつないだレコードプレーヤーでジャズをかけながら、うまいコーヒーが出せれば、最高ですね。彦根のような古い町にはぴったりなのですが、どこかにそんな店がありませんか。

 
                       搬出風景


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