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第52回例会

2008年10月17日(金)

加藤健一事務所公演 

『詩人の恋』

作: ジョン・マランス
訳: 小田島恒志
訳詞: 岩谷時子
演出: 久世龍之介
出演: 加藤健一、畠中洋

ミュージカルでもオペラでもない。
演劇と音楽の異色のコラボレーション大作!

優しく美しい名曲と歌声に心癒され、熱く切ない芸術家達のドラマが胸に迫る―。
加藤健一事務所が絶大の自信を持ってお贈りする濃密かつ贅沢なステージ。 

 

 

 「詩人の恋」の公演によせて

 ウイーンに住むマシュカン教授(加藤健一)は、ピアノは下手くそで、声楽家としても峠を過ぎたヴォイストレ−ナ。ある日、そんな彼の前に、かって神童と言われたピアニストのスティ−ブン(畠中洋)が現れる。スティ−ブンは音楽の壁に突き当たって、ピアノが弾けなくなってしまい、クラシック伴奏者への転向を考えていた。そのためのレッスンを受けるのに、何故かマシュカン教授を紹介されたのだ。 
 ピアニストであるスティ−ブンに、マシュカン教授は何を思ったのか、シュ−マンの連作歌曲「詩人の恋」を全編歌いこなすことを課題とする。「ピアニストが何故歌を?」と強く反発するスティ−ブンだが、嫌々ながらも歌のレッスンを始める。最初はマシュカン教授の考えが全く理解できなかったが、数ヶ月のレッスンを通してスティ−ブンは次第に音楽の心をつかみ、二人は互いに閉ざしていた心を開いて行く。年齢も国籍も全く異なる二人の間に、友情とも呼べるべきものが生まれる。そして、マシュカンとスティ−ブンの秘められていた過去も立ち現れて・・・。
 以上は2年前の「詩人の恋」再演時のパンフレットからの引用ですが、あと2点ほど、パンフレットから学んだことを紹介します。
 一つは、初演から再演までの3年間、加藤健一は、専門家による歌の個人レッスンを続けていたということです。1回2時間、月に最低2〜3回、どんな忙しい時でもずっと続けたそうです。2時間のうち、初めの30〜40分間は、ドイツ歌曲、イタリア歌曲、オペラアリアなどでの発声練習、あとの時間は「楽譜をしっかり読めるように」とコンコ−ネ50番、コンコ−ネ25番、サルバト−レマルケ−シュという教則本を段階を追ってやる、まさに音大受験生と同じような内容でした。長期のツア−の時も、講師に宿題を出してもらって練習を続けました。其の成果は例会の時にみなさんの耳でお確かめください。
 もう一つは、スティ−ブン役の畠中洋のダッハウ訪問です。劇中で、スティ−ブンがダッハウを訪問し、マシュカンと話し合おうとする場面があります。ダッハウとは、ミュンヘンの近くの町でで、1933年、ユダヤ人の強制収容所がドイツではじめて建てられたところです。悪名高いアウシュビッツなどはその後建てられたもので、1945年第2次世界大戦終了後すべての収容所は解放されますが、それまでに約600万人が虐殺されたといわれます。スティ−ブンは最初はかくしていましたが、実はユダヤ人であり、親からは、ダッハウの強制収容所を訪ねることを条件に、ウイ−ンへの旅費を援助してもらうことになっています。ところがなぜかマシュカンはダッハウ行きに反対します。
 畠中洋は、ダッハウ強制収容所を実際に自分の目で見てみたいと思います。
 「スティ−ブンにとって重要な地はダッハウ。ここを訪れ、見て感じたことをマシュカンにぶつけるシ−ンは物語のタ−ニングポイントにもなる箇所です。想像で喋るより、実際に目に浮かべながら、心に浮かべながらセリフが言えたらいいだろうなあ・・・」と思い加藤健一にその気持ちを伝えると、事務所の旅費持ちでダッハウ行きを快諾されて大喜び。しかし、ドイツ語も英語もダメ、同行者もいない一人旅での畠中洋の奮闘ぶりはパンフレットを購入してお読み下さい。
ひこね演劇鑑賞会  代表幹事:八田光雄

2008『詩人の恋』運営サークル活動記録

<事前準備>

10月17日の「詩人の恋」に向けて、真夏の8月からスタートしました。

★第1回運サ★ 8月22日(金)
  内容:自己紹介・詩人の恋について・今後の日程・例会予算
  加藤健一事務所について   (18サークル25名)

★第2回運サ★ 9月10日(水)
  内容:サークル活動・楽屋見舞について・サイン会について 
     シール渡し準備       (14サークル20名) 

★第3回運サ★ 9月25日(木)
  内容:今後の取組み・例会の分担・楽屋見舞について
     シール発送準備       (18サークル25名)

★第4回運サ★ 10月7日(火)
  内容:クリアに向けての取組み・事前鑑賞会の報告
     運サの感想・例会当日の最終確認(16サークル20名)

★ シール渡し★ 9月13日(土)・9月16日(火)・9月18日(木)の3日間
  今回は3部制にし、担当者の負担が解消されました。 (14サークル25名)

★ 事前学習会★ 10月5日(日)神戸演劇鑑賞会で「詩人の恋」を観てきました。(1サークル2名)

      第4回運営サークルの様子     


★10月17日(金)いよいよ当日です★


 9:30〜 搬入作業 たくさんの人が参加しました。楽屋には秋らしいお花を飾りました。

14:00〜演劇鑑賞会の事務所で牛めし作り、近江牛、近江米、彦根産ごぼう、彦根産しょうが、自家製紅しょうが等

*地元産にこだわりました。

お通しMenu

・手作り牛めし
・奈良漬
・バナナ
・カップケーキ(かぼちゃ、抹茶チョコ)
・サンドイッチ
・ゆず茶、他飲み物
・お菓子いろいろ
    
     みんなで牛めし作り           楽屋へのお通し
  加藤健一さんの誕生日が10月31日ということもありハロウィーンの飾り付けにしました。

17:00〜運サ集合 開演に向けて準備をします。

 
  幹事の田井中さんから報告とお願い  多くの人が集まりました 

17:50〜もうすぐ開場です 


 
   受付の準備中        パンフレット販売は準備万端です

18:00〜開場  


   多くの人が入場されました   受付は大変賑わっています  サイン会に参加してください!

18:30〜開演 『詩人の恋』スタート
   マシュカン教授(加藤健一さん)とスティーブン(畠中洋さん)のやりとりがとても楽しかったです。
      物語のテーマも深く、考えさせられました。
      歌やピアノも本格的で、二人劇なのですが、とても大きく見えました。
      すごい声量だと思っていましたが、後から舞台にマイクひとつなかったと聞き、さらに驚きました。
            
      今回は東京で人気のたねやのバームクーヘンをプレゼントしました♪♪♪
      (翌日の見送り時に、「今日みんなで食べます」と言ってくださいました。)
            
20:50〜サイン&握手会
   加藤健一さんと畠中洋さんは、演劇終了後すぐにロビーへ走って来てくださり、サイン会がスタートしました。
   多くの方が列を作り、ロビーは熱気で溢れていました。


       多くの人が並んでいます        お二人は丁寧に握手してくださいました


            画像をクリックしてください


当日の運営・搬入参加者は69名でした。

10月18日(土)14:00〜 事務所にて反省会 



★運サの皆さんの努力で「詩人の恋」のパンフレットを86冊も販売することができました。
★加藤さんと畠中さんにお渡ししたものと同じバームクーへンを集まった皆で頂きながら、昨日の演劇の感想を話し合ういました。その後皆さんのアンケート集計をしました。(4サークル8名)

「詩人の恋」運営サークルの皆さんお疲れさまでした。

「詩人の恋」例会アンケート ひとくち感想

★ やっぱりプロの方が演じられているものは違うと思いました。声量なども素人とは全く別物で驚かされました。ユダヤ人の迫害という内容も深くて、役者さんの魅力がとても引き出されていました。(10代・男性)
★ 10代です。なんで10代がないのですか(アンケートの年齢区分のこと)。初めに聞いた時の詩人の恋という曲と、最後の方でマシュカン教授の過去の話を聞いた後の詩人の恋という曲の深さが、深くなったのがすごかった。(10代・男性)
★ マイク無しということで、どういった感じになるのかと想像していたら、すごく迫力のある演技で、すごく良かったと思います。つい見入ってしまいました。(10代・男性)
★ 胸に染み入るお芝居でした。深かったです。(30代・女性)
★ テンポの良いマンザイのようなやりとり、くさくない自然体の芝居にひき込まれているとだんだんとシリアスな内容へ・・・・・とてもすばらしかったです。お歌もステキでした。(50代・女性)
★ 加藤健一事務所さんは15、6年前に京都で何度か観て、観客を惹きつける素晴らしい劇団だと思っていました。今回もとても楽しみにしていました。今まで演劇鑑賞会では観たことのないタイプの劇で、新鮮な気持ちで観ることができました。とても深いテーマにヨーロッパや日本の歴史について、改めて考える良いきっかけになりました。加藤健一さんならではのユーモアを交えながらの劇でしたので、重くならずに楽しく観ることが出来ました。お二人の歌、ピアノにもとても感動しました。是非また彦根に来てほしい劇団です。(40代・女性)
★ 二人の舞台でも迫力があってよかった。(50代・女性)
★ 音楽はテクニックではない。音楽は人と人が作っていくもの。音楽が人を変えて行くのでしょうか。なんといっても二人の熱唱がとても素晴らしく心にひびきました。感動しました。(50代・女性)
★ 加藤健一さんの魅力と実力に圧倒されました。ピアノを弾いていたにしても弾いている振りをしていたにしても、そのみごとさに見とれました。(50代・女性)
★ いままでとは違う劇だった。しかしわずか二人でこんなすばらしい感動が与えられることにおどろいています。音楽性と思想性、現代社会に生きるわれわれに大きな示唆を得ました。(60代・女性)
★ 加藤さんがとても良い。(60代・女性)
★ すばらしかったです。ピアノも歌も、そして演技も。(60代・女性)
★ 2人共体調が大事だと思って観させて頂きました。お芝居を見のがさないよういっしょうけんめい観させてもらい、とても感動しました。きっと忘れないお芝居になると思います。有難うございました。(60代・女性)
★ すばらしかったです。ありがとうございました。はじめの説明の方(グリーンの服の女性)マイクなしでは聞こえが悪くわからなかったです。うしろまで聞こえる様にしてください。(60代・女性)
★ お二人のピアノ、歌声が素晴しかった。
声に張りがあってすごく良かった。(60代・男性)
★ 楽器と歌と長いセリフ、どれも立派で感動しました。
ありがとうございました。(60代・男性)
★ 前半少し居眠りしたこともあり何のことか全然わからなかった。でも後半、生い立ち、経験がわかってくるにつれ強くひかれていった。途中もユーモアもあり素晴らしかった。うたはよくわかったが、ピアノもお二人が弾かれとは、すごい。(60代・男性)
★ 40年ほど前、ヨーロッパ旅行し、オペラ座・ウイーン・ジュネーブ等、いろいろ行き忘れてしまった頃です。オペラ座でオペラを見た時のすばらしさが今もたのしい想い出のひとつです。(70代・女性)
★ 音楽のレッスンをしながら人生を語り素晴らしい感動を受けました。心にしみ入る素晴らしい歌声をたっぷり聞かせて頂き忘れえぬよき舞台に感激しました。ありがとうございます。最後の空の青、美しかった。(70代以上・女性)
★ カトケンさんのすばらしい歌唱力にカンゲキです。
これぞ演劇というもの。(70代以上・女性)
★ すばらしかった。最初の説明(グリーンの服の女の方)マイクなしでは何を言っているのか聞き取りにくい。(70代以上・男性)
★ 二人〈加藤健一、畠中洋〉の熱演に、舞台の面白さを心の底から味わうことができた。二人だけの芝居はセリフの多いことが役者にとって大変な重さになるが、それをよく生かして最後まで舞台に釘づけにされていたことが、終わったあと気付いたのである。3ヶ月のレッスンを受けるためにマシュカン教授のもとを訪ねたスティーブンに、シューマンの「詩人の恋」を歌うことをすすめる。2人の間は雪解けのように心を開いていく(これがパンによって示される)が、思いがけず2人はユダヤ人であることが解る。マシュカンがユダヤ人収容所で腕に印をつけられている。これを偶然見つけた驚きから理解するが、シューマンの歌曲集「詩人の恋」を学ぶうちに「人生の喜びと悲しみ」を知っていく。16曲の短い歌の中から、第7曲「わたしは嘆くまい」、第12曲「明るい夏の朝」、第13曲「夢の中で私は泣いた」を通して、教授とスティーブンが理解し合い、ウィーンに生きる人の眼を通してヨーロッパの誇りとアメリカ文明への批判がにじみ出ていた。特にシューマンの第16曲「いまわしい思い出の歌」(この最後の曲だけが長い作品)の演奏が長いものであるが、舞台一杯に大きく拡がる時、幕となるところはずっしりと胸に響くものがあった。原作(ジョン・マランス)と演出(久世龍之介)の巧みさに心から拍手を送りたい。そして年間僅か5回の例会の中で、このすばらしい演目を選んで頂いた彦根演鑑に心から感謝の
言葉を贈りたい。(70代以上・男性)


2008.10.17 「詩人の恋」運営サークル


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