第50回例会 2008年5月29日(木)
母と息子、夫と妻、嫁と姑…家族の永遠の愛のテーマを、 笑いと涙で贈る爆笑人情喜劇、ここに登場!
四代続いた和菓子屋の若旦那。
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【あらすじ】
圭輔は老舗和菓子屋「みずさわ」の旦那だが、家業はもっぱら職人の源蔵に任せ、売れっ子の恋愛作家として過ごしている。
一人息子の健太郎は家を出て、大学へ。圭輔の妻は二年前に病死、「みずさわ」を切り回していた母も続いて翌年亡くなる。
一人になった圭輔は妻の三回忌を済ますと、十八歳も若い女性と再婚する。浮き浮き気分の圭輔だが、そんな圭輔に難問が降りかかる。町内にある寺が墓をつぶし、マンションを建てるという。檀家である町内の人々は、圭輔を尋ねマスコミを使って住職を糾弾するよう、依頼に押しかける。
そこへ、出版社の部長の尾崎が締切日となっている原稿を取りに現れる。源蔵は源蔵で母亡き後の店を。圭輔に切り盛りするよう懇願する。
だが圭輔はそんなことより新妻のほうに夢中。寺の墓にブルドーザーが入ったことを利用して皆を追い返し、昼間からふたりでワインを開け、いちゃつこうとする。
そんな時、突然雷鳴がとどろき、仏壇がゆれ、先妻の幽霊が現れる。その後、母親の幽霊が先妻を追いかけて…。幽霊に町内の人々を巻き込んで大騒動が始まる。
【解 説】
劇団NLTは、故賀原夏子のヴールヴァール(フランスの風俗喜劇)路線を発展させ、海外の秀作コメディを主軸に喜劇一筋に上演をしてきた劇団です。
笑いとは何か。人間関係を生き生きと描けば描くほど、お互いの立場や価値観の違いが明確となり、そこから滑稽な行動が生じます。当事者にとっては真剣な出来事も他人にとっては人ごとに過ぎず、笑いとなります。笑いとは覗き見の面白さともいえます。
『嫁も姑も皆幽霊』は、目を覆いたくなる悲惨な事件や犯罪が報道されている今日にあって、観る人をほっとさせる、笑いと涙の喜劇です
嫁も姑も皆幽霊・・・「青時雨おつる頃」より・・・
舞台は東京の下町の老舗の和菓子店。息子の圭輔は店の後は継がず、作家となってこの家で暮らしていた。店を切り盛りするのは、母親と妻の二人。しかし、一人息子が大学に進学すると妻は病気で急死。翌年には母親も亡くなった。寂しさゆえか、圭輔は読者であった若い娘と再婚。店は相変わらず、先代からの職人に任せきりだった。
そこから物語は始まる。幕が開くと居間に近所の人たちが詰め掛けている。町内の寺がマンション建設のために墓地を縮小するというのだ。そこで檀家を代表してマスコミで有名な作家、圭輔に反対運動に加わって貰おうと押し掛けているのだ。しかし目下圭輔の関心は新妻のことばかり。
適当に彼らを追い返すと二人きりの昼食に出かけようとしていた。そこに亡くなった先妻が現れる。「嫉妬して化けて出たのか」と尋ねる圭輔に「のんびりと天国で暮らしていたのに姑のお母さんが来てへとへと。この世で息抜きさせて」というのだ。驚く圭輔夫婦の前に雷鳴がとどろくともう一人なんと母親までもが現れる。「嫁が二人とはイビリ甲斐がある」と微笑んだ。近所の人や、圭輔の作家としての育ての親、編集長尾崎から、幽霊二人を隠そうとてんやわんやの騒動の中、二人がこの世に現れた本当の理由を知り圭輔は涙する。
そして、二人はあの世へと旅立った。
[青時雨おつる頃}
冬の季語である「時雨」に青葉の「青」を付して、初夏の表情をだした言葉。青葉、若葉目にしみるこの季節、その瑞々しい葉っぱからしたたり落ちるしずくを、時雨に見立てた風情のある言葉。 「雨の名前より」
「嫁も姑も皆幽霊」運営サークル報告
3月27日、第一回運営サークル会は15サークル、20名と複数参加も多く、幸先のよいスタートを切りました。毎年運営サークルに参加していると、一人一人の心には運営サークルのイメージが出来上がります。あらためて運営サークルってなんだろうと今年の活動方針を読み、みんなで話し合い、役割を確かめました。自己紹介では、彦根に居ながらにして、すばらしい演劇が観られることの喜びが語られました。この喜びを一人でも多くの人と分かち合うためにお誘いしたい、運営サークルに参加して分かることもたくさんあるので、根分けもしたい、と、頼もしいメンバーです。例会日までの活動日程、当日の役割も第一回目の運サで出しました。お誘い、根分けも含め、自分たちには何ができるかを確認し、第二回運サ会で報告しあうことにしました。
第二回運サ会は12C16名の参加で、シール渡しの準備を終えた後、第一回運さ会から今日までのサークルの状況も話し合い、予算は会員数を増やすことと関連付けて立てられていることを理解しました。また、先に下見をした人の感想なども聞きながら、例会への期待を膨らませました。お誘いも3サークルで6名を誘うなど、明るい雰囲気でした。
シール渡し日後の第四回運サ会は、NLT制作の小川さんをお迎えして事前学習会を行いました。お話は作品だけでなく、劇団のこと、鑑賞運動のことにも及び、ただお芝居を観ているだけでは得られないよい経験となりました。しかし、作品に対する信頼は大きいにもかかわらず、27名の退会者に対して入会者は14人、運営サークルは3サークルが6名の入会者を迎えるに止まっていました。みんな増やしたいんだけれど、とは思うもののなかなか入会に結びつかず、少し増やそうという思いが強すぎるのではないか、もっと気楽に知らせていこうというところから始めれば良いのではないかと話し合い、悲観的にならないように努めました。でも、やっぱり不安、臨時にもう一度運サ会を開こうかとも話し合いました。が、集まらなくても連絡を取り合うことは出来るということになりました。当日運営のこと、お通しのことなどもおおよそ固まってきました。
第五回運サ会は5月23日、当日運営の最終確認をし、お通しは千成亭の牛肉おにぎりに決まり!しかし、もうひとつの大切なこと、会員を増やすことについては苦労しました。例会まで一週間を切ったというのに入会者は16人で、前例会より−11人。運サでは4サークル7人の入会者を迎えるに止まっています。でも、決してあきらめないでおこう。一週間は結構長い期間、私たちの鑑賞会を知らない人はまだまだ多い、入会した人はきっと喜んでくれる、劇団にも大きな励ましとなる、など話し合いました。
そしてこの一週間に多くの新会員を迎え、前例会に並ぶ738人で例会を迎えることが出来ました。11人の入会者のうちなんと8人を運営サークルで迎えたことは大きな喜びと自信になりました。
運営サークルに参加して、鑑賞会はみんなが創っていることが実感できた、自分がやっているとの達成感が得られた、親しくなった人も増えた、楽しく参加できたと、一緒に苦労した仲間のつながりがありました。
まとめの会では、運営サークル会に毎回参加していろいろ新しい発見があり、鑑賞会への理解が深まった、新しい会員は特に毎回参加するとよい。お誘いすることを大変なことのように思わなくなり、これから気楽に楽しく活動できそうだ。これらの感想から、運営サークルはみんなが新しい気付きをして変わっていく場であることを再認識しました。また、運営サークルで顔をあわせて親しくなれば、幹事を通じなくても、お互い連絡を取り合って運営していけるかもしれないと、未来が明るくなる発言もありました。
最後まであきらめず、とてもドラマッチクな経験をしたと満足しています。ただ、複数参加は多かったものの、参加するメンバーが決まっていたこと(交替して参加するサークルもありましたが)、目標を出しながら根分けが出来なかったことは残念でした。
楽屋をみんなが持ち寄った季節のお花で飾り、とても華やかでした、中にはとても珍しい野の花々もあり、とても喜んでいただけました。 担当サ−クル
「嫁も姑も皆幽霊」アンケート結果・ひとくち感想 回収211枚
期待していた・・・・・・176
期待していなかった・・・18
関心がなかった・・・・・5
たいへんよかった・・・・192
よかった・・・・・・・・18
まぁまぁだった・・・・・1
あまりよくなかった・・・0
よくなかった・・・・・・0
◎ 久々の喜劇、気持ちも軽く、心楽しく観られました。そして、親子、夫婦、兄弟の立場を考えさせられ、親子のキズナの深さに感銘を受けました。現実に会いたい人たちがいるので(今は亡き人)こんな現実があればいいなー
◎ すごく楽しいお芝居でした。おもしろくて時間が早く経ちました。NLT公演、楽しみにしています。鳳八千代さんの宝塚を良く見せてもらいました。よいお声をしておられ、なつかしかったです。
◎ コミカルタッチで大変おもしろく久しぶりに大笑いしました。単純なストーリーだが最後まで楽しみました。
◎ ただの喜劇ではなく、人間愛を考えさせるよい劇でした。皆さん最後は浴衣姿で、気をつかわれていたのも見ていて楽しかったです。楽しい企画をこれからもよろしく
◎ 大変よかった。こんなに楽しくおもしろく大笑いしたのは初めて。来てよかった。
◎ おもしろかった。現実に父や母に幽霊でも会ってみたい気になった。いろいろ聞きたいこともあるし・・・。ふふふ
◎ 上質な喜劇でした。今後も分かりやすい劇をお願いします。
◎ 夏の庄の弔。大変参考になり、胸が痛みました。竹子さんの服がクリスマスの柄のスカートでおかしく思った。ちぐはぐはおかしい。
◎ 喜劇の楽しさを存分に味わわせていただいた。忙しい中、人の心を失わせる事件ばかり。そんな中人の温かさを幽霊が教えてくれる。切なさみたいなものを届けてくれたような気がします。
◎ 今回、知人の方の紹介で入会して、初めて鑑賞させていただきました。こんなに近くの場所で拝見できることを大変喜んでいます。
◎ コミカルでテンポもよく、楽しい劇でした。後でしたが声もとてもよく聞こえました。音無美紀子さんの演技がとてもすばらしかったです。
◎ とても楽しい公演でした。こんなに笑った例会は初めてでした。最後にはホロリとさせられ、心にほんわか温かいものが残りました。
◎ おもしろおかしくて、あっという間に時間が過ぎました。身内だったら幽霊でも怖くない?ホントにそうかも。もう一度逢えるといいなと思う人に逢えたらどれだけうれしいでしょう。今を生きるという意味を深く考えました。
◎ 今日の公演の題だけは知っていたが、全然ちらしは読んでいなかった。前半大いに笑わせてもらった。後半どうなるだろうと心配していました。でも、うまく亡くなった人からの願いということでうまくまとめておられました。でも「あの世から祈っているんだよ、あなた方の幸せを願っているんだ」の台詞がありましたが、人生の幸せって何でしょうね。
◎ 発想が奇抜でとても楽しかった。
◎ なかなか楽しくてコミカルで上質の演目だったと思います。硬質の社会性のあるものが好きなのですが、この種のものも時々取り上げてくださるのもいいかと・・・。
◎ 思いがけず楽しいお芝居。思い切り笑いました。青時雨、よい言葉を教えていただきました。本当によいお芝居でした。ありがとう
◎ 鑑賞会に入って初めての喜劇。吉本新喜劇とはまた違った種類の笑いですね。とても楽しく鑑賞できました。
◎ 涙が出るほど大笑いして、楽しいお芝居でした。たまにはこのような喜劇もいいなあと思っています。
◎ 音無さんのイメージと違ってエネルギッシュでコミカルな演技に感心しました。最後のご挨拶もとても嬉しかったです。
参加率・84.1%
☆☆☆初演・再演の劇評☆☆☆
からっと明るい幽霊芝居
夏に幽霊芝居はつきもの。とはいえ、これほど、からっと明るい幽霊芝居も珍しい。幽霊といえばたいていは一人、しかも恨みつらみを並び立てるのが相場だが、ここでは総勢五人、恨みを晴らしに出てきた幽霊は一人もいない。池田政之作・演出によるこの芝居では、幽霊があまりにも人間くさいため、つい幽霊であることを忘れてしまう。釣り込まれて見ているうち、ふと気づくと、すっかり下町人情の世界に入り込んでいるといった具合だ。 東京新聞 2002年8月21日
笑いの中にも、家族愛
新婚ム−ドに水を差されてうろたえる田村の若旦那と、そんな騒動を楽しむように陽気に振る舞う音無の幽霊がおかしくて笑いを誘う。ヘタすると茶番になりがちな題材を低俗な笑劇にせず、風刺の効いたコメデイに仕上げたのは、作・演出の池田政之の力。それと川端槇二、平松慎吾ら脇を支えた劇団NLTの面々。笑いの中に母と子、夫と妻、嫁と姑を見据えて家族の愛をテ−マにしたことで終幕を締めた。 中日新聞 2004年8月18日