もどる

2007年10月23日(火)

地人会公演 『喝采』

原題: "THE COUNTRY GIRL" by Clifford Odets

“ユージン・オニール以来、アメリカではオデッツほど偉大な才能に恵まれた劇作家は現れていない”
―― 1979 ハロルド・クラーマン 

酒に溺れるかつての大スターを献身的に支える妻、そして新進の演出家。それぞれの苦悩と葛藤のなかで、夫は再起を果たせるのか?妻の行動の真意とは?そして、夫と演出家の間で揺れる女心はどんな選択をするのか?
バックステージにゆらめく人生の光と陰。 



ストーリー
ニューヨークのある劇場。今度の芝居の主役が、突然キャンセルしてしまった。プロデューサー、フィル(松熊信義)と劇作家ポール(仲恭司)、そして演出家バーニー(若松泰弘)は混乱していたが、バーニーはかつての大スター、フランク・エルジン(篠田三郎)を代役に立てたい、と言い切る。
しかしフランクはある事件の日から、怠惰と絶望、自尊心の喪失、アルコール依存症によって今は見るかげもなくなっている。少年のころ彼の演技に感動したバーニーは、このチャンスにぜひ再起をと願っているのだ。
フランクの妻ジョージイ(倉野章子)はその話を聞いた時、ぜひそれを何とかやり遂げあの幸せな日々を取り戻すことができれば、思い、これまで以上に献身的にフランクを支え、尽くしている。
ニューヨークでの公演に先立つボストンでの初日。フランクの緊張は頂点に達し暗闇にうずくまってしまった。ジョージイの夫に対する献身ぶりは本当のものだったのかと疑うバーニー。彼女の重い口から出てきた言葉は真実を語り出す。その言葉はバーニーの心を強く動かし、彼女を強く抱きしめるのだが―― 

スタッフ 
作=クリフォード・オデッツ 訳・演出=木村光一 装置=石井強司 照明=沢田祐二 衣裳=宮本宣子 効果=斉藤美佐男 演出助手=今村由香 舞台監督=三上司 制作総務=渡辺江美 

キャスト 
篠田三郎/倉野章子/若松泰弘/松熊信義/仲恭司/白井圭太/亀田佳明/伊勢佳世 

「喝采」の公演によせて

ニューヨークのある劇場。けいこ用に使われている裸舞台の上で、演出家のバーニイ・ダッド(若松泰弘)、プロデューサーのフィル・クック(大林丈史)、劇作家のポール・アンガー(仲恭司)の三人が深刻な顔つきで相談している。
 三週間後にボストンで初日を迎える芝居の主役が、儲けの多い映画の世界に誘われて、契約書のちょっとしたミスを利用して逃げてしまったのだ。
 大至急主役の代わりを探さなくてはならない。
 バーニイはかつての名優フランク・エルジン(篠田三郎)を起用したいと提案するが、クックは、呑んだくれで、この10年ほどまともな役をやっていないフランクの起用にはどうしても賛成できない。
 しかし、若い頃フランクの演技に鳥肌が立つほど感動したバーニイはこの機会にぜひ再起をと願い、強引にクックの反対を押し切る。 舞台稽古に入って何日かたったある晩、ほかの役者やスタッフを帰して、フランクと二人きりになったとき、バーニイは「あなたみたいに才能のある役者がどうして乱れた生活をするようになったのか」と、前から気になっていたことを遠慮がちに尋ねる。フランクは古きよき時代のことから語りだす。

 ミスアメリカに選ばれたこともある妻ジョージー(倉野章子)とのすばらしい新婚生活、14部屋もある豪邸を立て、水泳、ボート、テニス、6時には夕食、7時に車で劇場へ行く・・・ところがある日、家に帰ってみると、妻がぐでんぐでんに酔っ払って、ベッドに倒れている。
 その年の暮れには手もつけられないアル中に・・・「僕も酒を飲み始めた。金はどんどんなくなった。女房は手首を切る、ホテルの部屋に火をつけるー仕方なしに私が芝居に出ているときには看護婦を雇ったよ、見張り役としてね。そして挙句の果てに子供も死んでしまった。君ならどうだ、あきらめきれるかい
?14,5年だ、ひどい年になったよー君だってそんなことになったらきっと酒を浴びるほど呑む意外に手はなっかたと思うな」この言葉を額面どおり受け止めたバーニイは、今まで以上にフランクに共感し、同時にジョージーを批判的な目で見るようになる。時にはジョージーをフランクから引き離そうとさえするぐらいになる。しかし、土壇場で明らかになった意外な事実は・・・
 この劇は、原題は「ザ カントリーガール」で、映画にもなり、ジョージー役のグレース・ケリーがアカデミー賞主演女優賞をもらっている。ジョージー、フランク、バーニイの三人を中心にくりひろげられる心理劇ともいうべきもので、登場人物の心の襞が細かく描かれている。
                                      ひこね演劇鑑賞会代表幹事 八田光雄
 

[喝采]運営サークル報告

[喝采]運営サークル報告
 約2ヶ月前から活動を始めた運営サークル。それは単に例会の「運営の当番」というだけでなく、一緒に演劇を観続けていく人を誘っていくのに必要な時間でもあります。「喝采」運営サークルではすべてのメンバーが情報を共有し、十分に話し合うことを大切にし、これを新会員を誘う力に繋げていきたいと考えました。第一回運営サークル会を最も大切な集まりとして、手紙でお知らせするだけでなく、さらに電話で参加の確認をしました。第一回に18サークル32人が集まり、参加サークルが多かっただけでなく、複数参加も多く、よいスタートが切れました。すでに新会員を誘って参加するサークルが2サークル。だれもが会員を増やそうと思っている、という発言もあり、運営サークルで話し合うことでお互いに学びあい、一歩を踏み出す意欲を引き出してもらえることを実感しました。そして、各サークルに一人は新会員を誘うことを目標にしました。

第二回運営サークル会では各サークルの取り組みの報告と話し合い。当日役割についても各サークルで話し合って後日希望を出すと決めるなど、やはり話し合いを大切にしました。また、他鑑賞会での事前学習会に参加した報告など「喝采」[地人会]についても理解を深めました。この回までに地人会の解散が発表されていましたが、このことで鑑賞会を組織することの意味を改めて学びました。地人会の最後を飾るために私たちは何ができるか、それは、私たちが各サークルに一人以上の新会員を迎え、その結果前回よりも多い会員数で例会を迎えることに他ならないと考えたことです。「創造団体」のためにという視点を持てたことは良かったと思います。
シール渡し初日に三回目の集まりを持つことにしましたが、話を深められず、再考を要するものとなりました。

第四回運営サークル会のころには幸いにも前例会の会員数よりも多い会員数で例会を迎えられるとの見込み。会員を増やしたサークルの数は増えず、最初に立てた目標に迫ることはできませんでした。8サークルで14人の新会員を誘いましたが、代表者が誘ったのが11人、サークルのメンバーが誘ったのが3人とまだまだ代表者が背負っていることが見受けられます。サークルのメンバーに鑑賞会のこと(なぜ自分たちが増やすのかも含め)を知ってもらうには、代表者と一緒に運営サークル会に参加するのが早道ではないでしょうか。今回、このことの大切さに気づき、サークルのすべての人が代表者と一緒に(複数参加)参加(毎回ではありませんが)したサークルが2,3サークルあり、すばらしいと思うとともに、広めていければよいと思いました。また、例会後にも新会員を迎えたけれど、運営サークルで迎えたときほどの喜びを感じられないという発言は、まさに運営に参加して実りある活動が出来たからこそ味わえる喜びであると考えられます。

迎えた例会当日、野の花で一杯の楽屋、千秋楽のための「おはぎ」「赤飯」においしい「お漬物」は大変喜ばれ、終演後のキャストのお見送りは運営サークルにとっても良い思い出となりました。
地人会の制作、友谷さんが搬入に運営サークルの人がたくさん来てくれて、歓迎されていると嬉しくなった、運営サークルのみんなが指示されてではなく、主体的に参加している、みんなでやっているのがよくわかると言われました。「喝采」運営サークルへの最大の賛辞です。 

★運営サ−クルに参加して

 私たちのサ−クルは、昨年6月に男3名と女性4名から始まり、今回の例会に、新会員2人を迎えることになり9人のサ−クルとなりました。良かった、よかったと喜んでいます。
 今回の運営担当にかかわり、各サ−クルの皆さまの演劇にたいする熱い思いに頭が下がりました。とりわけ彦根で千秋楽を迎える地人会の方々に私たちに何ができるのか話し合いました。会議を重ねるごとにみんなの気持ちが盛り上がり、当日を迎えました。
 いよいよ「喝采」の観劇。篠田三郎さん、倉野章子さんの熱演に圧倒し少々興奮しました。最後にできるだけ多くの会員でお送りしましょうの合い言葉で裏の出口に集まり大きな拍手でお礼の気持ちを表すことができました。
 最後に篠田三郎さん、倉野章子さん、との握手に、みんな感動し、これは運営担当だからこその体験だったのだと思います。2ヵ月に渡り準備を進めてきたことを振り返り、いま、達成感を味わっております。
そして、木村光一様、これまで数々の感動をいただき、有難うございました。
                      ( 運営担当の一人 )

★演劇鑑賞会の運営サークルに参加して

 今まではお客様で、ノホホンと楽しませていただいているばかりでした。
この度、運営サ−クルに参加して初めて鑑賞会を構成する細胞の一つであると自覚しました。脳細胞の方の下、準備運営等見事に進みました。
 私の担当は受付で、切符もぎり、パンフレット渡し等、学園祭さながらの楽しさでした。働いたご褒美は、開演前の対面式と最後のお見送りでした。お見送りの時、私は一番端におりました。そこに演出家の木村光一先生が立っていらっしゃいました。思わず、先生が以前にプロデュ−スされた「ビルマの竪琴」の話をしてしまいました。何という厚かましさでしょう。「ビルマの竪琴」より今夜は地人会最後の公演で俳優さんの科白のやり取りが白刃の真剣勝負のようであったことや、セットの見事さや、話すべき事は、他に山ほどあるのに。その時はこういう大切なことは何も言えなく後でくやみました。
でも、私にとっては始めての経験、運営に参加して得た宝物でした。
                        (ビバ84才)

★初めての運営担当に参加して

 昨年の七月例会より友達に誘われ入会をして演劇鑑賞会の仕組みも十分に知らず一会員として参加させてもらっていました。
 今回の四十七回例会が運営担当であることも初めて知り戸惑いながら、玄関先でのパンフレット販売のお手伝いをさせていただきました。
 観劇の場内ではなかった、人との出会いも多々あり、感激の時をすごさせていただき又地人会特別公演の「喝采」の千秋楽のお手伝いが出来たことを幸せに思っています。
 多くの運営担当の方々によってお赤飯・おはぎまで作っていただき本当にありがとうございました。
 今後は微力ではありますが、この演劇鑑賞会の発展のために携わっていけたらと思っています。
                       米原市 七十歳 女性

★10月例会 喝采 ひとくち感想のペ−ジ

☆日本の演劇界で何年ぶりかの最高作品と思った。
☆熱演だった。感激、ありがとう。
☆とても良かった。地人会最後の舞台がみられて 良かったです。ありがとう!!                         
☆役者さんはそれぞれに素晴らしいと思いましたが  内容がむずかしくて、わかりずらかった。
☆いつも,あら筋の書いたパンフを事前にもらうのだが、一回も読んだことはない。その場で何を感じるか。緊張感のある舞台であった。ハラハラ、ドキドキ、イライラ、心の動きが見事に表現されていた。自信、?慢、自分の姿は、なかなか、みえないものなのですね。
☆内容的には、男女間、夫婦間の矛盾を感じ、考えさせられました。(よい意味です)でも木村光一さんの最後の作品、とても感動しました。残念です。篠田三郎さん、倉野章子さんの熱演ぶりには、大変、たいへん感動。やっぱりお上手ですネ。運営サ−クルだったので最後のお見送りで握手までして頂いて最高の一日でした。前から二番目の席で三人の熱意がビンビン伝わってきました。
☆篠田三郎さん、暖かみのある方だと思いました。聞く側としても安心して観劇させていただきました。これからも活躍を期待しています。劇団最後だとお聞きしましたが、その大切な舞台を彦根でみせていただきありがとうございました。  
☆一幕目は、一つの作品を上演するために繰り広げられる人間群像が段々と、集約化、凝縮され、緊張が高まって行く・・・・・その過程を観客は、目撃者、審判者のように凝視している。二幕目は、限界点を超えた沸点は新しい展開を形造っていく、人間の面白さを堪能した演劇、まさに醍醐味でしょうか。

「参加率」
     621名参加・・・82.7パ−セント

アンケ−ト結果
期待していた・・・・101
期待していなかった・・9
関心がなかった・・・・0
たいへんよかった・・79
よかった・・・・・・27
まぁまぁだった・・・12
あまりよくなかった・・5
よくなかった・・・・・1

もどる