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2007年8月30日(木)

青年座

深川安楽亭

原作:山本周五郎
脚色:小松幹生
演出:高木 達


生まれついてけもののように生きていくしかない無頼の男たちがたむろする安楽亭
そこに場違いな男がフラリ現れた
「俺は知ってるぜ、この店がどんな店か」
男は酔い潰れ、嗚咽する
ある夜、与兵衛が傷ついた若い男を担ぎ込んで来た
この男もまた事情ありのようだ
おみつの言葉に身の上話しを始める富次郎
「……堅気な色恋ってやつも悪かねえ」
その時、無頼の男たちの血が騒ぎ出した

2004年劇団青年座創立50周年記念公演第3弾
「下北沢5劇場同時公演」として初演
江戸のアウトローたちが帰ってくる
けもののような奴らが帰ってくる
人一倍情に飢えながらそれさえ信じられない
そんな無頼の心が揺れた
これは心に闇を持った哀しい男たちのものがたり 

出演者

名取幸政/平尾仁/山本龍二/横堀悦夫/檀 臣幸/堀部隆一/五十嵐明/
綱島郷太郎/小豆畑雅一/山ア秀樹/川上英四郎/高 義治
藤井佳代子/野々村のん/柳下季里 
スタッフ

スタッフ

原作 = 山本周五郎 脚本 = 小松幹生 
演出 = 高木達 装置 = 阿部一郎 
照明 = 野地晃 音響 = 高橋巖 
舞台監督 = 古川慶弘 製作 = 森正敏・大森崇行 

キャスト

男 = 横堀悦夫 
富次郎 = 檀臣幸 
与兵衛 = 綱島郷太郎 
定七 = 五十嵐明 
岡島 = 平尾仁 
勝兵衛 = 名取幸政 
小平 = 堀部隆一 
政次 = 小豆畑雅一 
由之助 = 高義治 
源三 = 山ア秀樹 
仙吉 = 川上英四郎 
小菊 = 藤井佳代子 
おきわ = 柳下季里 
おみつ = 野々村のん 
幾造 = 山本龍二 

「深川安楽亭」例会報告

「深川安楽亭」の運営サークルの取り組みは、前例会6月19日の搬出に始まり、4回の運営サークル会議、3日間のシール渡し、8月30日例会当日の搬入、運営、そして9月1日のまとめの会議に至るまで、のべ200名以上の会員の参加、協力で無事終えることが出来ました。その他に7月24日の事前学習会は焼く40名の参加で盛り上がったものとなりました。また、例会当日の炊き込みご飯のお通し、抹茶サービス、楽屋の花などのとりくみは、劇団の人たちにも喜ばれました。例会の参加率は約77%で前回より低かったのは残念ですが、参加した会員は、「予想以上にすばらしく感動した」「妻と子を失った男の土手で語る言葉に思わず涙ぐんだ・・・」など多くの会員が肯定的評価をされています。
今回試験的に吸収幕を付けていただきましたが、「セリフが聞き取りやすかった」という感想がアンケートのなかにもいくつか見られ、一定の効果がありました。急なことですが、中越地震で被災の柏崎芸術協会へのカンパを訴えたところ、23,000円が寄せられました。膳例会クリアのとりくみは最後まで努力しましたが、残念ながら達成できず心残りとなりました。まとめの会議で出た意見の一部を紹介します。 
 会員の高齢化を痛感する。なんとか若い層への働きかけを強化すべきだ。そのため、高校や大学の演劇部などへの働きかけを具体的に検討すべきだと思う。託児サービスを検討してはどうか。小さいこどもがいて落ち着いて演劇鑑賞することはムリという人もいる。新会員拡大の時も託児サービスがあるといえば入会してくれる可能性は高くなると思う。両親などの介護の問題も出た。アンケートの中に「芝居は大変よかったが、隣のおしゃべりにはこまった」というのがあったが、マナーの問題は彦根ではまだ大きな課題として残っている。早く卒業したいものだ。  深川安楽亭運営サークル



運営サークルに参加して

 30年近く演劇を鑑賞する機会から遠ざかっておりまして、入会してから3作ほどの鑑賞となります。舞台の展開の速さ、ストーリーの明快さ、セリフの早さなど、きっと演劇としては普通なのでしょうが、私としてはすこしせからしく騒がしくおもえておりました。が、今回深川安楽亭はじっくりと味わうことが出来ました。私は入会して日も浅くいろいろなことがまだまだ理解できておらず、なかなか適切なことが書けるものではありませんが、皆さんが真剣に演劇を愛され、支え、協力することで成り立っている会だということを実感しました。安土 堂見勝子

 今年2月に入会してこの度の深川安楽亭の運営サークルに参加しました。数回の打ち合わせや事前学習会やシール渡し、そして例会当日の作業や係の分担を通じて鑑賞会の目的や活動内容の大枠を知ることが出来たように思います。その間の根治の方々の労を惜しまない努力に感心いたしました。会を構成するサークルやメンバーに対する情報発信、劇団のスタッフや出演者への心配りなど様々の配慮を目の当たりにしたからです。また会員数の維持・拡大への目標達成意欲も相当なものです。会員一人一人の協力が欠かせないことを痛感しました。まずは第46回例会が大好評にて終了したことは何よりでした。 久野ひろし
 有名な出演者もなく(?)地味な作品を担当したものだと思っておりましたが、演劇はストーリーも演技もすばらしく、今はこの作品でよかったという思いです。人って心根はみんな優しいんだということにホットさせられました。前例会の搬出から始まった運営サークルを経験できたことで、受身ながらも演劇鑑賞会に参加している(みせてもらっているのでなく)のだということを実感しております。 スイートポテト

 青年座の深川安楽亭すばらしい舞台でとても楽しいひとときでした。どうすることもできない無頼が集まる中で外見は手荒く怒鳴りあう間でも内心は雀一羽を大切にする心の優しい持ち主の寄り合いです。開幕で安楽亭を見せる内にいつの間にか一人ひとりの生きる姿が映し出され明らかになって行く。このあたりが原作を舞台に乗せるための脚色が必要とされます。青年座の今までひこねで上演されてきた「無法松の一生」などに比べて脚本がすばらしく、すっかり原作のその味を失うことなく舞台が出来上がっている点で観るものはいつの間にか引き込まれてしまいました。上手(かみて)のもうひとつの舞台も生かされていましたがちょっと照明が暗かったようです。(これは私の席からそう見えたのでしょうか)入り口の窓の照明を通じて月明かりと昼のシーンの証明のこまやかな息づかいがあっただけに残念でした。また音響が日本的な江戸深川を亡失させるものであったのが惜しいと思いました。デカンショ節や盃のやりとりの中で話が進むとき場面転換の音(響?)ちょっと合わない思いがしました。でも熱演で青年座の皆さんが一生懸命演じてくれる息使いを感じました。心から拍手を送りたいと思います。 津田公城

 今年度からあおぎりが1と2に分かれ、今回あおぎり2として単独で「深川安楽亭」の運営に関わりました。昨年までは代表の方の連絡を受けてお手伝いしていましたが、今回は暑い中でのシール渡しを含めて5回の会議への参加、懐疑を受けてサークルの人への連絡とお願いには正直少々疲れました。でも、搬入から受け付け、資料渡し、花束贈呈と7名でやりくりしながらお手伝いできたことに喜びを感じています。また運営サークル会議に出席して、ほかのサークルや事務局のかたがたの熱心さに、今まで人任せにしていた自分を恥ずかしく思っています。この会は私たちで運営していかなければ慣れ立たないことを痛感するとともに、すばらしい演劇が身近で鑑賞できる喜びを、年齢層を問わず幅広く伝え、参加の呼びかけをしていきたいと思っています。 高岸 幸子


アンケートの結果

回収枚数109枚
大変よかった・・・58 よかった・・・26 まあまあ・・・13  あまりよくなかった・・・5 よくなかった・・・1

 一口感想
・席詰めのとき、前より3列目にいくことが出来、セリフもよく聞こえ、表情もよく見えてお芝居を楽しむことが出来ました。セリフが早く難解な言い回しもあって前半とまどいましたが、後半特に橋の上での二人のやり取りにはジンときました。本当の涙がライトにきらりと光って大変すばらしく、感動しました。
・長すぎて退屈でした。演出、演技、発声にそれぞれ問題ありと感じた。
・人生の生き方を見せていただき元気をもらいました。感動いたしました。「つ」の席でしたが声もよく聞こえ、よかったです。
・音響もよかった。人情がにじみ出ていた。
・暗転が多く疲れましたが、大変よかったと思います。
・内容が濃くて考えさせられました。おもしろかった。
・全く期待していませんでしたが、とても良かった。芸達者ばかりでお芝居で涙ポロリははじめてでした。でも終わりは意外な終わり方でした。
・周五郎作品ということで期待していた。全集は持っているのだが読んだのはほんの一部。思わぬ展開に驚き、うまいなあと感心しました。最後の二人の男の会話「おれはあのとき本当にしたかったのは何だったのか。金ではなかった。」自分の生き方を見直したい。
・土手のところで、妻とこどもを失った男の言葉に思わず涙ぐみました。

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