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2007年6月19日(火)

劇団朋友第28回公演!
「神様が眠っていた12ヶ月」

作:杉 浦 久 幸
演出:西 川 信 廣

時代背景は昭和44年(1969)のニッポン。
昭20年(1945)八月六日広島に原子爆弾が投下されてから24年後のニッポンです。
被爆によって家も家族も失い、その後の過酷な人生を歩んできた山根正一と、異なる事情で両親のいない幼友達の心やさしい女、
宮之坂雪乃のものがたりを主軸にドラマはミステリアスに展開します。
雪乃のやさしさが周囲に捲き起こす波乱の数々。
波乱は波紋をよび多彩な事件が錯綜するポリフォニックな哄笑へと拡がって行きます。
そして、迷宮に右往左往する私たちの今日の姿にコメディータッチであたたかく迫ります。
今、私たちが忘れてしまったものは何か
今、私たちが失くしてしまったものは何か
こわれてしまった人間性をとり戻すには?
作者は静かにハートフルに問いかけているかのようです。
どうかご期待ください。


「神様が眠っていた12ヶ月」 の公演によせて

まず最初に「神様が眠っていた12ヶ月」の作者杉浦久幸のことばを紹介しよう。
「今回の作品は、他者と深く関わろうとする女性の物語であると言えよう。
現在の風潮とは逆行して、愚直なまでに人を受け入れようとする生き方は、今で言えば、家に鍵をかけずに、だれかれ構わず簡単に人を信じ、招き入れるようなもので、とうてい実践などできるものではない。
だが、いや、だからこそ、私はあえて現代劇として提示してみたいと思っている。
時代の背景は無論、現在ではなく30年程遡る。昭和44年、アメリカの威信をかけてアポロ11号が月面に降り立った半面、ベトナム戦争がドロ沼化していく。
学生運動が学内闘争へと移っていった頃である。物価が上がり続け、暮らしはちっとも楽にならない。どこか現在の状態と似ているこの時期に、『雪乃』という女性の、不器用と言ってもいい、人との関わり方を描くことで、同世代を生きる人間として見落としがちな『絆』という、ほぼ死語に近くなった言葉の持つ、本来の『力』が喚起されればいいと思っている。」
 この作者ですら、家に鍵をかけず誰でも招き入れるなんて現在の風潮とは逆行して、とうてい実践などできないといっている。
たしかに最近は四六時中鍵をかけ、外界との接触はインターホンごしという家が多い。しかしそれが本来あるべき姿なのだろうか。
私にはどうもなじめない。古くはびわこ空港問題、最近は新幹線栗東新駅問題や彦根市の合併問題など、一軒ずつ署名をもらいに行く時、インターホンで「今手が離せませんので」と冷たく拒否されて感じるあの寒々とした気持ち、半面古い格子戸をガラガラとあけて 「こんにちは」といえる暖かさ、どちらが人間的かというのは難しい問題だろう。 人を信じることしか知らぬ宮之阪雪乃(長山藍子)は、世の不正、不合理と闘い続ける幼なじみの山根正一(松山政路)と再会し、なんとか力になれないものかと思い悩む。
しかし、警察からは指名手配犯として追われ、また身体は病魔にむしばまれ、余命いくばくもない正一、雪乃は最後のひとときを正一と過ごそうとヒロシマへ旅立つ。
 その後東京へ戻り、地下道生活(今でいうホームレス)をしたり、妹一家と暮らしたりするが、天衣無縫というか、誰でも無条件で受け入れ、とことん信じこむ彼女の性格から雪乃ファンが一人、二人とふえていく。家族にも言えない悩みを雪乃にだけは聞いてもらいたくなる。最後に大笑いしたのは、雪乃を逮捕に来た警官まで彼女に悩みを聞いてもらう始末。たしかに現実にはあり得ない話かもしれないが、この劇を観ながら、そして笑い転げながら、私たちが失くしてしまったのは何か考えさせられるのではなかろうか。
ひこね演劇鑑賞会
                           代表幹事:八田光雄

  キャスト
役名
俳優名
宮之坂雪乃 長山藍子
桜井 忍(雪乃の妹) まきのかずこ
桜井久作(忍の夫) 向井 修
桜井陽一(忍の長男) 相馬聡廣
桜井春香(忍の長女) 小林美香
桜井宗助(忍の義父) 石川恵彩
田坂幸三(久作の上司) 松下 惇
木藤登志子(雪乃の友人) 菅原チネ子
進藤 勇(陽一の友人) 渡辺 弘
谷本雄太(陽一の友人) 高橋 晃
松城美智子(陽一の友人) 小形聡美
山本勘助(刑事) 小山内一雄
中西 透(刑事) 小宮山 徹
桜井範子(陽一の妻) 益海愛子
桜井由紀(範子の娘)
渡辺由紀
柏木裕一郎(春香の夫) 小島敏彦
山根正一(雪乃の幼馴染) 進藤 忠

  スタッフ

脚本
杉浦久幸
演出
西川信廣(文学座)
美術
石井強司
照明
山口 暁
音響
中嶋直勝
衣裳
合田瀧秀
舞台監督
道場禎一
演出助手
制作

 

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