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第35回の例会 少年H

     
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「少年H」例会報告

 「丘の上のイエッペ」の楽しい例会の後、4月早々に第1回運営サークル会議を立ち上げました。仲間を増やして、クリアして例会を鑑賞しましょう。の呼びかけに、反応は今ひとつ盛り上がらず、「クリア?難しいかも・・・」という雰囲気でした。そこで、毎回の会議に事務局長が、静かに熱く語りかけました。「なぜ、クリアが必要なの?」その功あって、会を追うごとに入会者が増え、ついにクリア達成!本当に皆さんのおかげです。一人、一人が自覚することで、こんなに成果が上がるとは、運営サークルの皆の頑張りって凄いですね。もっとも、後で問題点も現れてきたのですが・・・
 例会後は、近くのレストランで交流会。少年Hのお父さん、お母さん、そして、制作の柾木さんが参加され、舞台の裏話で盛り上がりました。みんな、異口同音に、こんな素晴らしいお芝居を、子供にも、若い人たちに、もっともっとたくさんの人たちに観てほしいという気持ちで一致しました。(だからといって、自分の子供や、友人にシールを渡すのは、違反です・・・念のため)本当にもっともっとたくさんの人たちが、私たちの鑑賞会に参加してくれるといいですね。運営サークルの皆さんご苦労様でした。これからも、私たちが観たい演劇を私たちが選んで鑑賞できるように、志を高くして、がんばりましょう。私達って、日本の演劇を支えているのかも?ねっ!
   「少年H」の運営サークルとして(チロリアンベル)
 俳優の方たちとお話をしながら会食をする交流会まで参加し、皆で運営している会であることを実感しました。会議に参加しているうちに気が合う魅力的なお友達も出来ました。皆様もぜひ積極的に参加なさって、楽しんでください。

 微力ながら、運営サークルの一員として参加しました。演劇鑑賞会の理念やしくみを知り、会を存続させるには、多くの方と一緒に芝居を観ること、つまり会員を増やすことがもっとも大切なのだと知りました。しかし、仲間を増やすのは容易なことではありません。趣味のグループで声をかけたり、心当たりを当たってみても既に会員だったりして、なかなか入会者は現れません。そんな中で感じたことは、会の存在があまりのも知られていないということでした。「そんな会があるの?」とか「こんな有名な人が彦根へ来るの?」とかという言葉が聞かれました。宣伝力のない私たちの会では、口コミで人から人へ伝え広めていくより仕方ありません。しかし「勧誘」という普段なれない作業はかなりのエネルギーを必要としました。入会者が現れず途方にくれていた頃、ふと思い立ち、すぐご近所の、楽しいことが大好きな方に声をかけてみました。答えはぜひ入会したいとのこと、さらにうれしいことにお姉さんをお誘いくださって2名の仲間が増えました。灯台下暗しとはこのようなことを言うのだと思ったことでした。日ごろ、会員の目に触れないところで、会の運営に力を注いでくださる方々、鑑賞会への熱き想いを抱きつつ煩雑な仕事をテキパキと処理するお骨折り、そのような皆様のご尽力に心より感謝いたします。 
                                     小西 美穂

 

 

 


アンケート集計

期待していた・・・・・・85     考えさせられた・・・85
期待していなかった・・14    面白かった・・・・・・30
関心がない・・・・・・・・1     楽しかった・・・・・・・29
                   難解だった・・・・・・・・5
                   退屈だった・・・・・・・・5

  一口感想
☆ 高度成長期の真っ只中に生まれ育った私にとって、戦争は、TVで見たり、周りの人から聞        くだけで、実感というものは全くない。今はイラク問題について考えさせられている。きょうの例会を通じて違った視点で改めて考えさせられ、大変良かった。ありがとうございました。
☆ とてもよかった。「少年H」を読んでいたので、長いストーリーをどのようにまとめるのか興味があった。少年らしいテンポの速さ、コミカルな展開・・・etc冒頭に神戸爆撃のシーン、そしてendingが再びそこへと自然な流れだった。今、平和ということ、軍備、日本の進む方向が問われている今、こういう形での演劇の取り組みは貴重だと思う。
☆ 戦争をテーマにしたものは、暗くて、楽しくない。
☆ 大変良かった、とても感動した、本当にありがとうございます。
☆ 今年入会して2回目です。来る度に盛り上がって観ています。ありがとうございました。
☆ ものすごく迫力があり、子供たちの連帯感があり。神戸がそのときも、消えてしまったのだと、感じました。せりふの声が聞きにくかった。
☆ 前半は何かばたばたと全員がしていてあまり理解できなかったが、後半、戦争に対してのむごさがこみ上げてきた。純粋な一人の少年の心がとても感動した。
☆ 戦時中の思想弾圧、こうやって劇を見ていると、あんな中に本当にうまれていたら、どんな生き方をするのかわからない。今のこの時代にぴったりの内容であった。
☆ せつなかった、戦争はいやだ。
☆ テンポがあってよかった。また次回も彦根に来てもらいたいと思いました。
☆ 最初のH家での会話が聞き取れず、残念だった。場面、シーン1つ1つ、工夫され遠くから観ていてもよく解りよかった。舞台の使い方など勉強になった。
☆ 何が面白いのかさっぱりわからない
☆ 戦争を知らないすべての人々がこの劇を観ることによって、良い日本になると思います。
☆力あふれる熱演に感動しました。決して忘れてはならない昭和の歴史戦争を・・・。頑張って生きて行きたい。
☆ とても感動した。若い人にもっと観て欲しいなあと思いました。
☆ 戦後生まれの私ですが戦争中の苦労を考えさせられました。
☆ 声が聞き取りにくくなんとなく面白くなかった。もっとメリハリのあるほうが良い。
☆ 最初は退屈でしたが、少ない人員、動かないセットでよくやられたと思います。舞台の上で走りすぎ!

「少年H」の公演によせて

 次の例会は関西芸術座の「少年H」です。原作者の妹尾河童さんは舞台美術家として有名で、ひこね演鑑の「森は生きている」や「罠」のすばらしい舞台を手がけられた人です。また、「河童が覗いた○○」シリーズなど多くのエッセー集も出版されています。その妹尾さんが初めて書いた小説が「少年H」で、1997年発行以来三百万部をこえる驚異的ベストセラーとなりました。

上下2巻、700ページに及ぶこの自伝的小説は、1940年(昭和15年)から1947年(昭和22年)ごろまでの、すなわち太平洋戦争突入の前後から敗戦に至るまでの日本の社会の動きとそのなかでの少年Hの行動と心の動きを克明にたどったものです。

 1930年生まれの妹尾さんは、「戦争があったあの時代が風化しているとよく言われるが、それは戦争を体験した人が少なくなっていることに加え、戦争を知らない世代の人に正確に伝わっていないからだ。あの時代に生きた人間の一人として、戦争とは何か?≠いま伝え残しておかないと、また愚かなことが繰り返される恐れがあるという危機感があって、『少年H』を書いた」といっています。たしかに「また愚かなことが繰り返され」ようとしている現在、この作品の持つ意義は大きいものがあります。

 しかし、この長大な物語を劇化するのは大変困難な課題だと私は思いました。関西芸術座はその困難な課題に挑戦し、見事に答を出してくれました。

 妹尾肇こと少年Hが小学生時代から神戸二中(当時は旧制で5年間)を卒業するまでの間、原作では50の事件でつないでいるのを7〜8件にしぼり、そのつなぎとしてコロス6人が様々な役に扮し、囁きまた叫んで情勢を告げ、登場人物の心理を解き明かします。コロスというのは、古代ギリシヤ劇の合唱隊のことで(コーラスと同語源)、この劇では舞台進行上重要な役割を果たしています。

 少年Hは、洋服職人で子供のよき理解者である父:盛夫と、熱烈なクリスチャンである母:敏子のもとで自由奔放な小学生時代を送ります。しかし中学生になるころから世の中が戦争一色に変わり、少しでも疑問を持つものは「非国民」と弾圧されていきます。どうしても時流におもねることのできない少年Hは、いくら殴られてもかたくななまでに節を曲げようとはしません。

 「戦争を知らない子供たち」が多数となり、一見平和に見える現在、それだからこそ逆に、少年Hの生き方を見直してみることが、大切だと考えさせられる劇です。 

                                 ひこね演劇鑑賞会    代表幹事 八田 光雄

「少年H」公開稽古を観て

4月17日(日)関西芸術座で、午後2時から約2時間演出の鈴木完一郎氏の指示の下、座員の皆さんの厳しい稽古を見せてもらうことができた。より良い舞台を、演鑑の会員に見てもらおうとの思いが迫ってきて、息詰る思いで見ていた。鈴木氏は「演鑑の会員の中には、多くの戦争体験者が居られるだろう、戦争を知らない自分は、その体験に迫るリアルな芝居は到底できないから、原作の意思を汲み取って戦争を描くのではなく、当時の少年と大人たちがどのような思いで生きてきたかとの思いを描きたい」と せりふにあっても声に出さず、息遣いで表現できないか、ずいぶん厳しい注文が飛んでいたが、役者さんたちは必死で何度もやり直し、稽古に励んでおられた。台本にあるとおりのせりふを言うのではなく、言外にその時代の空気を自分のものとし、表現するように指導されていた。

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