2018年10月30日(火) こまつ座公演 2015年に熱い感動を呼び、数々の演劇賞を受賞した『マンザナ、わが町』。
|
みどころ紹介
1941年12月真珠湾攻撃の翌年、アメリカでは約12万人の日系人が10か所の強制収容所に抑留されました。そのひとつマンザナ収容所が舞台です。
所長により5人の日系人女性が「マンザナ、わが町」と題した朗読劇を演じる様に命ぜられます。
目的は、マンザナは強制収容所ではなく自治の町であることを宣伝するためでした。
現実と矛盾した内容は、5人の女性たちの本音をさらけ出させます。5人はぶつかり合いながら朗読劇をつくり上げていきます。その中で戦争、人種差別、アメリカという国、日本という国、文化の違いなど現在に通じる問題を「ああ、なるほど」と思わせてくれます。
3年前の東京公演でのDVDを鑑賞しただけですが、この作品が大好きになりました。
5人の美しい女性たちのそれぞれの個性が素敵です。
個性がぶつかり合いながらも次第にお互いを認め合っていくところなどは、自分もそうありたい、多くの人々が多くの国々がそうなれば、いやそうなるように努力しなければと思わせてくれます。
この作品には多くの「なるほど」と「可能性」がちりばめられています。
これは観る方によって違っていると思いますが、また、観れば観るほど見つかると思います。
とっても豊かな内容をもった作品です。
やはり、井上ひさし氏の作品だからでしょう。
膨大な資料と多くの時間をかけ緻密につくりあげられた作品だからこその面白さではないでしょうか。
また、劇中で歌われる歌声が素敵です。
昨年「死神」でロロ役を演じた北川理恵さんがリリアン竹内役に、交代で抜擢されたのもその歌声が素敵だからでしょう。
浪曲師、オトメ天津役の熊谷真実さんの浪曲は、聞き惚れます。
浪曲が好きな自分に気が付いてびっくりです、日本人の血だからでしょうか。
「わが町」で来られた土居裕子さんはもちろん、5人のコラボも素敵です。
女優、ジョイス立花役の吉沢梨絵さんは少し音程が外れます。しかし、彼女は、本来ステージショーをするほどの歌唱力の持ち主、でも音痴と言う役柄から音をわざと外すそうです。
生まれつきの音痴にはできない役とか。
伊勢佳世さんは、ふしぎな役者さんです。
ふしぎなサチコ斉藤役にピッタリだと思います。
このように5人の役者の演技が光っています。こまつ座は作品に合わせて役者を集めるプロデュースだからこその贅沢な配役陣が可能になるのでしょう。
こまつ座は平和のメッセージを、お芝居を通して訴えていくことをモットーにしている劇団です。
その思いが心の底にしみ込んでくる作品でもあります。
今年の9月の東京公演ではチケットが完売され、観たくても観られない方が続出でした。
そのお芝居がこの彦根にやってきます。
私たちは必ず観ることが出来る喜びとともに、この作品を多くの方に観ていただきたいです。
(青春アミーゴ 酒井紳一)
土居裕子(ソフィア岡崎) ジャーナリスト(31歳) |
熊谷真実(オトメ天津) 浪曲師(38歳) |
伊勢佳世(サチコ斉藤) この物語の鍵を握る人物 (20代後半) |
北川理恵(リリアン竹内) ミュージシャン(18歳) |
吉沢梨絵(ジョイス立花) ハリウッド女優(22歳) |