2018年6月26日(火) 文学座公演 原作/三遊亭圓朝 脚本/大西信行 演出/鵜山 仁
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あらすじ
旗本飯島平左衛門の娘お露はふとした機縁で浪人萩原新三郎を見染め、恋い焦がれた末に焦がれ死に、乳母のお米もその後を追った。
それを伝え聞いた新三郎は念仏三昧の供養の日々を送っていた。
折しも盆の十三日、死んだと聞いていたお露とお米が幽霊となり、牡丹燈籠を提げて門口に立った。
二度と会えぬと思い詰めていた二人は激しく燃える。お露がこの世の者でないと知ってか知らずか…。
一方、平左衛門の妾お国は、隣の屋敷に住む宮野辺源次郎と人目を忍ぶ仲。
家督を早く乗っ取りたく焦った二人は、奸計を巡らしつつ閨(ねや)の中。
そこを平左衛門に見つかるが、返す刀で平左衛門を切り殺し、江戸を出奔する。
さて、新三郎は夜毎お露と逢瀬を重ねていたが、この家に出入りをする伴蔵は、日毎に痩せ細る主人を見て、
これでは取り殺されると、新幡随院の良石和尚から死霊退散のお札を貰い、戸口や窓に貼りつけ、新三郎の海音如来の尊像を身に付けさせる。
――中に入れず牡丹燈籠は空しく萩原の家の周りを漂うばかり――
新三郎に逢えぬお露の嘆き悲しみを見て、不憫に思ったお米は伴蔵にお札と如来像を取り除いてくれと頼むのだった。
それを知った女房お峰の入れ知恵で、百両の大金と引き替えに伴蔵がお札を剥 がすと、牡丹燈籠はうれしげに高窓に吸い込まれて行った。
それから時が流れ、また、盆がやって来た。
ところは野州栗橋宿。
そこには、関口屋という大店の旦那におさまった伴蔵とお峰の姿があった。
●原作
三遊亭円朝 さんゆうてい・えんちょう
天保10年(1839年)〜明治33年(1900年)。江戸時代末期から明治時代に活躍した落語界の大看板。
多くの落語演目を創作。折しも維新後のニュー・メディア「講談速記」により人気を博す。
滑稽話の他に『真景累ヶ淵』『怪談乳房榎』などの怪談噺、「文七元結」などの人情噺、
グリム童話を元にした「死神」など、今も様々な形で演じ継がれる名作を多く生み出した。
命日の8月には谷中の全生庵にて円朝まつりが行われる。
●脚本
大西信行 おおにし・のぶゆき
昭和4年(1929年)〜平成28年(2016年) 東京生まれ。日本の劇作家、脚本家、演芸研究家。
正岡容の門下。同門には小沢昭一、永井啓夫、3代目桂米朝、都筑道夫、加藤武、小島貞二らがいる
(小沢昭一、加藤武とは、麻布中学・早稲田大学を通じての友人)。
テレビドラマ「御宿かわせみ」「水戸黄門」「大岡越前」などのシナリオを執筆。
文学座の舞台には「開花草紙電信お玉」「女たち」などがある。
●演出
鵜山 仁 (うやま ひとし)
奈良県出身。文学座附属演劇研究所17期、1982年座員に昇格。
初演出は1982年文学座アトリエの会『プラハ1975』。
以降、精力的な演出活動を続け、日本演劇界を代表する演出家の一人である。
83年から1年間、文化庁派遣芸術家在外研修員としてパリに滞在。
89年芸術選奨文部大臣新人賞受賞。
99年『おばかさんの夕食会』『夢の島イニシュマーン』の演出で第2回毎日芸術賞千田是也賞、
2001年新国立劇場『コペンハーゲン』などで紀伊國屋演劇賞個人賞と読売演劇大賞優秀演出家賞、
04年『ニュルンベルグ裁判』(ひょうご舞台芸術)などにより第11回読売演劇大賞の大賞と最優秀演出家賞、
10年『ヘンリー六世』(新国立劇場)により第17回読売演劇大賞最優秀演出家賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞、
16年『廃墟』(文化座+東演)、『マンザナ、わが町』(こまつ座)により第23回読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞。
昨年17年には『その人を知らず』(東演+文化座+民藝+青年座+文学座)の演出を手掛けた。
そして今年18年もフランスの劇作家フロリアン・ゼレール作『真実』の翻訳や、
『怪談 牡丹燈籠』の演出などの文学座公演のみならず、多方面で活動の場を広げている。
07年9月〜10年8月、新国立劇場の第4代芸術監督(演劇部門)を務めた。
●出演
早坂直家、石川 武、大原康裕、沢田冬樹、釆澤靖起、相川春樹
富沢亜古、つかもと景子、岡 寛恵、梅村綾子、柳絢子、永宝千晶
●スタッフ
美術/乘峯雅寛 照明/古宮俊昭 音響/秦 大介 衣裳/前田文子 殺陣・所作指導/澤村國矢
舞台監督/加瀬幸恵 演出補/西本由香 制作/友谷達之、白田 聡、最首志麻子